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金物
「金物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
金物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
」
彼女はちらりと牧野の顔へ、侮蔑《ぶべつ》の眼の色を送りながら、静に帯止めの
金物《かなもの》を合せた。
「それでも安心して下さい。身なんぞ投げはしませんから....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
切に言ってくれた。町人といっても、人形町《にんぎょうちょう》の三河屋という大きい
金物問屋で、そこのお内儀《かみ》さんがとかく病身のために橋場《はしば》の寮に出養....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
を固くして、この怪しい車の音に耳を澄ましていた。 車はだんだんに近づいて、棟の
金物《かなもの》の薄くきらめくのも見えるほどになった時に、もう待ち切れなくなった....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
がて掴み出したのは小さい仏の像であった。仏は二寸に足らないもので、なにか黒ずんだ
金物で作られているらしく、小さい割合にはなかなか目方があった。 「この仏さまをお....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
全体が黒ずんでしまって、兜の色の取り合わせが悪いので、前立てや吹き返しには金銀の
金物をまぜてありました。
金物と云ってもやはり本物で、金は慶長小判、銀は二朱銀を用....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ほのぼのと恵み深く響き始める。 朝晩の凍み方はたいして冬と変わりはない。ぬれた
金物がべたべたと糊のように指先に粘りつく事は珍しくない。けれども日が高くなると、....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
僕のよろしくない病がムラムラと起ったのである。僕はポケットに手を入れると、小さい
金物をとりだした。実はこれは僕の秘蔵の手製合鍵である。こいつを鍵穴に入れてガチャ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
もと店さきへ手探りながら駈け出しましたが、なんにも見えません。暗いなかでお神輿の
金物がからりからりと鳴る音と、それを担いで行く白丁の足音がしとしとと聞こえるばか....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
その長持はわたくしも知って居ります。全体が溜塗りのようになっていて、角々には厚い
金物が頑丈に打付けてございます。わたくしも正面から平気でのぞく訳にはまいりません....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
の以来、決して蟹を食わないばかりか、掛軸でも屏風でも、床の間の置物でも、莨入れの
金物でも、すべて蟹にちなんだようなものはいっさい取捨ててしまいました。それでも薄....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
苦労人だと聞いたが違いない。……話の中に、田舎から十四で上京した時は、鍛冶町辺の
金物屋へ小僧で子守に使われた。泥濘で、小銅五厘を拾った事がある。小銅五厘|也、交....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
窓をしめて、鍵をかけて、その上に僕の頑丈なステッキを真鍮の環の中へ通して、丈夫な
金物が曲がるほどにうんへ引っかけておいて、気を鎮めるために寝床の上に坐った。僕は....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
れを取鎮めるすべを知らない茶店の女は、唯うろうろしてその成行きを窺っていると、鋲
金物を春の日にきらめかした一挺の女乗物が石段の下へ急がせて来た。陸尺どもは額の汗....
「勘平の死」より 著者:岡本綺堂
劇・映画』 大正一五・二、新橋演舞場初演 第一幕 京橋|具足町の和泉屋という
金物屋の奥座敷。初午祭の素人芝居の楽屋になっているていで、そこには鏡台が幾つも列....
「海のかなた」より 著者:小川未明
た町の中にはいってきました。 その町には、昔からの染物屋があり、また呉服屋や、
金物屋などがありました。日は、西に入りかかっていました。少年は、あちらの空のうす....