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金紋
「金紋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
金紋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
。見ると実際さっきの車は、雨を待っている葉柳《はやなぎ》が暗く条を垂らした下に、
金紋のついた後をこちらへ向けて、車夫は蹴込《けこ》みの前に腰をかけているらしく、....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
しまっちまえッ」 しかられているまに、八ツ山下をこちらへ回って、葵《あおい》の
金紋打ったるおはさみ箱がまず目にはいりました。それから、これも同じご紋染めたる袋....
「三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
そして、柳の木の下には白い硝煙が、薄く立ち昇っている。 「津軽だ」 と、挟箱の
金紋を見た侍が、叫んだ。 「津軽さんだ、津軽さんだ」 群衆は口々に、叫んだ。 ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
の交番に新任のお巡査さん――もっとも、角海老とかのお職が命まで打込んで、上り藤の
金紋のついた手車で、楽屋入をさせたという、新派の立女形、二枚目を兼ねた藤沢浅次郎....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
《つば》が南蛮鉄に銀ぞうがん……小柄《こづか》は鳥金七子地《とりがねななこじ》へ
金紋虎《きんもんとら》の彫り、それから塗りがこの通りの渋い三斎好み、中身は備前|....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
鏡に三鞭の泡が撥ね、歩道のなかばまで競り出した料理店の椅子に各国人種の口が動き、
金紋つきの自動車が停まると制服が扉を開け、そこからTAXIDOが夜会服を助け下ろ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ておいでです。
五本骨の扇、三百の侯伯をガッシとおさえ、三つ葉|葵《あおい》の
金紋六十余州に輝いた、八代吉宗といえば徳川も盛りの絶頂。
深閑とした大奥。
....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
深雪が、顔を上げると、拝領物を飾る棚、重豪公の手らしい、横文字を書いた色紙、
金紋の手箪笥、琴などが、綺麗に陳《なら》んでいた。そして、その前で、梅野は、紙張....
「江木欣々女史」より 著者:長谷川時雨
すりの場の雲州《うんしゅう》松江侯お玄関さきより広大だ、襖が左右へひらくと、黒塗
金紋|蒔絵《まきえ》のぬり駕籠《かご》でも担《かつ》ぎだされそうだった。 「これ....
「竹本綾之助」より 著者:長谷川時雨
ろ》って、御簾《みす》が上るたびに後幕《うしろまく》が代る、見台《けんだい》には
金紋が輝く、湯呑《ゆのみ》が取りかわる。着附《きつけ》にも肩衣《かたぎぬ》にも贅....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
成りイ」 という声とともに行列は早くも代地の木橋へかかる。将軍は藤色の陣羽織に
金紋漆塗の陣笠。従者はばんどり羽織に股引、草履のいでたち。老中、若年寄、近侍をふ....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
いでに僕はマダ抱え俥を置いた事がない、イツデモ辻俥で用を足すというンのだ。沼南の
金紋|護謨輪の抱え俥が社の前にチャンと待ってるんだからイイじゃないか。社の者が沼....
「旅の旅の旅」より 著者:正岡子規
大方はすゝきなりけり秋の山 伊豆相模境もわかず花すゝき 二十余年前までは
金紋さき箱の行列整々として鳥毛片鎌など威勢よく振り立て振り立て行きかいし街道の繁....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
あっていい品物ではない。尠なくも、一かどの武将が手艶にかけた業物で、鞘の揉皮には
金紋の箔すら朧ろに残って見える。 ――さては。 と、武蔵は思い合わせて、よけ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
いた。 母屋の奥、寂とした闇の中に、三つのつづらがすえてあった。 雪のせ笹の
金紋が、薄暗いその部屋の隅に、妖魅めいた光を放って――。 召使でも置き忘れたも....