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金線
「金線〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
金線の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
なっていた。部屋の中程には小さな樅の木の鉢植えが据えられて、繁った枝葉の上には、
金線のモールや色紙で造られた、花形や鎖が掛り、白い綿の雪がそれらの上に積っていた....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
を冠されていた。かの女が倫敦から買って帰ったベルベットのソファは、一つ一つの肘に
金線の房がついていた。スプリングの深いクッションへ規矩男は鷹揚な腰の掛け方をした....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
くるかもしれない。今にも、聖鐘の殷々たる響が轟きはじめ、その神々しい光が、今度は
金線と化して放射されるのではないかと思われてくると、――ああ、ダンネベルグ夫人は....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
の円卓子へ向き合って坐った。彼が気づくと、その円卓子の縁一寸ほどのところを一本の
金線が細く円を描いていた。彼はその
金線に添うて、火をつけない一本の巻煙草を置いて....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
寧に塗りながら、……皇帝の朝の化粧は終りに近づいた。彼は細い刷毛《はけ》を以て、
金線細工の小箱から少しばかりの頬紅を取った。それは聖僧の遺骸を収める箱の雛形とも....
「襟」より 著者:ディモフオシップ
いて、すぐ寝入った。そうすると間もなく戸を叩くものがある。戸口から手が覗く。袖の
金線でボオイだということが分かる。その手は包みを提げているのである。おれは大熱に....
「傷痕の背景」より 著者:豊島与志雄
「あれがいけないんだわ。」 「何?」 「軍人……将校よ、立派な。襟に赤と、肩に
金線の、軍服をきて、サーベルの音をさして……。あたし、帽子をぬいで、丁寧にお辞儀....
「春の幻」より 著者:豊島与志雄
ら、自分自分の猥らな思いに、うっとりと考え込んでいる。そしてそのまわりを、紺青に
金線のある蜥蜴が、ひょいひょいと頭をもたげては、また小足にすばしっこく馳け続ける....
「蜘蛛」より 著者:豊島与志雄
である。多くの蜘蛛はどす黒い汚い色をしているのに、彼だけは、背と腹部とに幾筋もの
金線をめぐらして、誇らかに光り輝いている。多くの蜘蛛は昼間隠れて夜分姿を現わすの....
「日本文化私観」より 著者:坂口安吾
めていた。目星しいものは爆破の前に没収されて影をとどめず、ただ、頂上の瓦には成程
金線の模様のはいった瓦があったり、酒樽ぐらいの石像の首が石段の上にころがっていた....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
る。古くなって手ずれたせいもあろうが、それはほんのりとした夢である。一むらの薄が
金線あざやかに、穂先を月のおもてに靡かせる。薄の穂は乱れたままに、蓋から胴の方へ....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
かった。眼を開いて見ると朝だと見えて厚く重なった葉の天蓋から二筋三筋日光の縞が黄
金線のように射していた。林の中の諸※の葉は朝風に揺れてさも嬉しそうに上下に舞踏を....
「暗夜の格闘」より 著者:小酒井不木
一つの罎を取り、それを傾けて、中の液をビーカーの中へ注ぎました。それから、細い白
金線を小さく切って、木村さんの眼の前に持ってきました。 「木村のおじさん、このお....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
である。目に見る事も出来れば、手に触るる事も出来るのだ。その形、その大いさ細かい
金線の飾り、まぎれもなく彼がかつて手にしたことのある水晶の栓に相違ない。目につか....
「リラの手紙」より 著者:豊田三郎
久能が手紙を束ねかけるとばらばらと四、五枚の便箋が落ちたので、取りあげてみると、
金線で縁どった立派なもので××ホテルのしるしがあった。久能は何の気もなく、凝った....