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「金縁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

金縁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
プを離しながら、四つ折の十円札へ目を落した。が、たちまち目を挙げると、もう一度|金縁《きんぶち》の近眼鏡の奥に嬌羞に近い微笑を示した。 「そうですか? じゃまた....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
が》わしい風評が絶えた事のない女です。私はその楢山夫人が、黒の紋付の肩を張って、金縁の眼鏡《めがね》をかけながら、まるで後見《こうけん》と云う形で、三浦の細君と....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
に筆を揮《ふる》ったらしかった。 そこへ濶達《かつたつ》にはいって来たのは細い金縁の眼鏡をかけた、血色の好い円顔の芸者だった。彼女は白い夏衣裳《なついしょう》....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
った、どこかの隠居らしい婆さんが一人、黒絽《くろろ》の被布《ひふ》の襟を抜いて、金縁の眼鏡越しにじろりと新蔵の方を見返したのです。勿論それはあの神下しの婆なぞと....
或る女」より 著者:有島武郎
所から出て来た時分には、貞世はもう一枚の名刺を持って葉子の所に取って返していた。金縁《きんぶち》のついた高価らしい名刺の表には岡一《おかはじめ》と記《しる》して....
星座」より 著者:有島武郎
突然音がした。ちょっと驚いて見上げてみると玄関のつきあたりの少しすすけた白壁に、金縁の大きな丸時計がかかっていて、その金色の針がちょうど九時を指していた。玄関に....
碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
と思って、すぐ坐蒲団を取りに行って来た。 お医者さんは、白い鬚の方のではない、金縁の眼がねをかけた方のだった。その若いお医者さんが八っちゃんのお腹をさすったり....
婦系図」より 著者:泉鏡花
イルを呷ったらしい。充血した顔の、額に顱割のある、髯の薄い人物で、ギラリと輝く黄金縁の目金越に、看護婦等を睨め着けながら、 「君たちは……」 と云うた眼が、目....
蠅男」より 著者:海野十三
す。さっき邸を出てゆっきよったが、どうも好かん面や」 と、署長は、白面無髯に、金縁眼鏡をかけているというだけの、至って特徴のない好男子の池谷与之助の顔に心の中....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
倉庫に狼が羊の檻の中に逐い込まれた様だった。其の中に小羊が二匹来やがった。一人は金縁の眼鏡が鼻の上で光らあ。狼の野郎共は何んの事はねえ、舌なめずりをして喉をぐび....
密林荘事件」より 著者:海野十三
しで、その柴谷青年は役所へやって来た。彼は痩せ型の、顔色のどす黒い、そして今時|金縁眼鏡をかけているという人物だった。 警部は早速この青年について訊ねるところ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
日と経たないうちに、小川写真館の貸本屋と向合った店頭に、三人の影像が掲焉として、金縁の額になって顕われたのであるから。 ――青雲社、三大画伯、御写真―― よ....
」より 著者:織田作之助
に呆れてしまったが、果して間もなくあるビルディングの地下室にある理髪店へ行くと、金縁眼鏡をかけたそこの主人はあなたのような髪は時局柄不都合であると言って、あれよ....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
陰となって向い合った客の景子達だけを明るく照し出した。 夫人は茶テーブルの上の金縁の紅茶茶碗へ紅茶を注ぐと軽く会釈して夫の側へ腰を下ろした。此の如何にも物馴れ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
蹌踉と外科室へ入交る。 同時に医学士に診察を受けていた貴夫人は胸を掻合せたが、金縁の眼鏡をかけた顔で、背後へ芍薬が咲いたような微妙い気勢に振返った。 その時....