金魚売り[語句情報] » 金魚売り

「金魚売り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

金魚売りの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
こころ」より 著者:夏目漱石
ないんじゃない。人間全体を信用しないんです」 その時|生垣《いけがき》の向うで金魚売りらしい声がした。その外《ほか》には何の聞こえるものもなかった。大通りから....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
終日攻めよせているだろう。それにしてももう老いさらぼえた雪道を器用に拾いながら、金魚売りが天秤棒をになって、無理にも春をよび覚ますような売り声を立てる季節にはな....
銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
素姓が明されるものか」 「ほんとにそれはそうですわねえ」お色は胸に落ちたらしい。金魚売りの声が表を通った。燕のさえずりが空で聞こえた。 「六人の奴らどうしたかな....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
奇矯な俳人が咏んだように、一夜の嵐に散ってからは、世は次第に夏に入った。苗売り、金魚売り、虫売りの声々、カタンカタンという定斎屋の音、腹を見せて飛ぶ若い燕の、健....
魔像」より 著者:林不忘
葉の初夏――それも今は、町の各所に打水がにおって、もう苗売《なえう》りではない、金魚売り、すだれ売りだ。来るべき猛暑《もうしょ》を思わせて、何となく倦《だる》い....
巷説享保図絵」より 著者:林不忘
」 そこへ縁に影がさして、人がはいって来た。それは磯五であった。磯五は、女中が金魚売りから金魚を買ったといって、それを見に来ないかとおせい様を呼びに来たのであ....
つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
ばに、きちんと膝っ小僧をそろえているのは、久しぶりに乾分《こぶん》の御免安兵衛。金魚売りの声が横町を流れている。 風のほしい陽気だ。 「なあ安」文次は眠そうな....
青いボタン」より 著者:小川未明
分けてやりました。またある日のことでありました。正雄は、家の前で遊んでいますと、金魚売りが通りました。金魚売りは、みんなを見ると、金魚のはいっているおけを地に下....
金魚売り」より 著者:小川未明
は、外にあって、 「金魚やい、金魚やい――。」と、いう呼び声を聞いたのです。 「金魚売りがきた……。」といって、彼は、すぐに、家の外へ飛び出てみました。心のうち....
母の手毬歌」より 著者:柳田国男
と、多くの商人は手車を曳くようになったが、今でも天秤棒をかついでくるのは豆腐屋に金魚売り、その他液体のはいった容器をになう者に多い。農村のほうでも水を汲むとか、....