»
釘
「釘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
釘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
思わず総身がわななきました。すると甥は早くも身仕度を整えたものと見えて、太刀の目
釘を叮嚀に潤《しめ》しますと、まるで私には目もくれず、そっと河原を踏み分けながら....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
帆布か何かに包むだけだろう？」
「だからそれへこの札をつけてさ。――ほれ、ここに
釘《くぎ》が打ってある。これはもとは十字架《じゅうじか》の形をしていたんだな。」....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
頭へ載せながら、眼でその挨拶に答えると、仲間の女たちの後《あと》を追って、やはり
釘《くぎ》を撒《ま》くような燕の中を歩き出した。彼は娘と入れ違いに噴井《ふきい》....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
いたかね？
又
あらゆる古来の天才は、我我凡人の手のとどかない壁上の
釘《くぎ》に帽子をかけている。尤《もっと》も踏み台はなかった訣《わけ》ではない。....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
、雨の中を大急ぎで玄関まで駈けて参りました。玄関の格子には、いつもの通り、内から
釘がさしてございます。が、私には外からでも
釘が抜けますから、すぐに格子をあけて、....
「或る女」より 著者:有島武郎
それは恋によろしい若葉の六月のある夕方《ゆうがた》だった。日本橋《にほんばし》の
釘店《くぎだな》にある葉子の家には七八人の若い従軍記者がまだ戦塵《せんじん》の抜....
「或る女」より 著者:有島武郎
り続けた所によれば、古藤は木村の手紙を読んでから思案に余って、その足ですぐ、まだ
釘店《くぎだな》の家の留守番をしていた葉子の叔母《おば》の所を尋ねてその考えを尋....
「僕の帽子のお話」より 著者:有島武郎
帽子をうんと掴《つか》みました。帽子が「痛い」といいました。その拍子に帽子が天の
釘《くぎ》から外《はず》れでもしたのか僕は帽子を掴んだまま、まっさかさまに下の方....
「星座」より 著者:有島武郎
白石の「折焚く柴の記」を載せて読んでいた。年老いた父が今｜麦稈《むぎわら》帽子を
釘《くぎ》にひっかけている。十月になっても被りつづけている麦稈帽子、それは狐が化....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
して異常な憂愁と力とを感ずるに違いない不思議に強い表現を持っていた。 しばらく
釘づけにされたように立ちすくんでいた君は、やがて自分自身をもぎ取るように決然と肩....
「親子」より 著者:有島武郎
分のふがいなさをつくづく思い知らねばならなかった。それと同時に親子の関係がどんな
釘に引っかかっているかを垣間見たようにも思った。親子といえども互いの本質にくると....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
専制君主の力を示す笏というべき鞭をふりかざしていた。正義の鞭は王座の背後の三本の
釘にかけてあり、悪事をはたらくものを絶えず脅やかしていた。一方、彼の前の机の上に....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
ない事を見て、気の狂う程の恐怖が自分の脳髄の中に満ちた。動かないように、椅子に螺
釘留にしてある、金属の※の縁の所から細い筋の烟が立ち升って、肉の焦げる、なんとも....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
者のために多くの争議を指導した。たしか昭和十年ごろと思うが、ある深川の製材工場が
釘で厳重にロック・アウトをしたことがあった。われわれはこれをぶちこわして強引に工....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
あらゆる時代のように何人かの犯罪的天才を造り出した。ピストル強盗も稲妻強盗や五寸
釘の虎吉と一しょにこういう天才たちの一人だったであろう。僕は彼が按摩になって警官....