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「釜中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

釜中の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
刃もいっせいに晃《きらめ》きて、女の眼《め》を脅かせり。 白糸はすでにその身は釜中《ふちゅう》の魚たることを覚悟せり。心はいささかも屈せざれども、力の及ぶべか....
鯉魚」より 著者:岡本かの子
て、脱然《だつぜん》、昭青年の答え振りは活《い》きて来ました。青年は、あるいは「釜中《ふちゅう》の鯉魚」と答え、あるいは「網《あみ》を透《とお》る金鱗《きんりん....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
と主人は迷亭に注意する。迷亭は平気なもので 「勝ちたくても、負けたくても、相手が釜中《ふちゅう》の章魚《たこ》同然手も足も出せないのだから、僕も無聊《ぶりょう》....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
《たいえい》するを余儀なくされて終《しま》って居る上は、籠中《ろうちゅう》の禽、釜中《ふちゅう》の魚となって居るので、遅かれ速かれどころでは無い、瞬く間に踏潰《....
迷信解」より 著者:井上円了
れば、誤怪の一種に相違ない。また、古来伝うるところに釜鳴りの怪の話があるも、これ釜中の空気の振動より生ずる由にて、物理上説明のできることあれば、仮怪の一種であろ....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
、もし倒幕の鋭気がくじけるようなことにでもなっては、一天のおんために、また悪政の釜中にあえいでいる下々のためにも、悲しむべきことといわねばならぬ」 こういう意....
三国志」より 著者:吉川英治
ひびき、急激な攻め鉦の音などがいちどに迫ってきたので、城兵は消火どころではなく、釜中の豆の如く沸いて狼狽しだした。 「北門をひらいて突出しろ」 太史慈は将軍台....
三国志」より 著者:吉川英治
あげながら蜀兵はうろたえ惑う※統軍へ喚きかかった。何かはたまるべき、荊州の兵は、釜中の魚みたいにただ逃げ争って蜀兵の殺戮にたいし、手向う意志も失っていた。山を攀....
三国志」より 著者:吉川英治
した。一歩、二歩、三歩と。そして歩と共に哀吟した。 豆ヲ煮ルニ豆ノ※ヲ燃ク 豆ハ釜中ニ在ッテ泣ク 本|是レ同根ヨリ生ズルヲ 相煎ルコト何ゾ太ダ急ナル 「…………....
三国志」より 著者:吉川英治
わりから、突然、湧いて出たような蜀軍の鬨の声が起った。蜀の呉班、呉懿の軍だ。――釜中の魚はまさに煮られる如く逃げまどった。 ここでも、魏勢は残り少なに討たれた....
私本太平記」より 著者:吉川英治
。 だが人間はついに、われからその棲み家を業の窯として、自分も他人も、煮え立つ釜中の豆としてしまった。――天下騒然、 「戦だ」 「いよいよ始まったぞ」 「さ、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
と、まさに七歩目、曹植は哀しげに一詩をさけんだ。 豆ヲ煮ルニ 豆ノ※ヲ燃ク 豆ハ釜中ニ在リ泣ク 本コレ同根ヨリ生ズルモノヲ 相ヒ煎ルコトノ 何ンゾ太ダシク急ナル....