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針の山
「針の山〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
針の山の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
って居りますから、水晶《すいしよう》のような水を透き徹して、三途《さんず》の河や
針の山の景色が、丁度|覗《のぞ》き眼鏡《めがね》を見るように、はっきりと見えるの....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
しは必ず咄嗟《とっさ》の間に餓鬼道の飯も掠《かす》め得るであろう。況《いわん》や
針の山や血の池などは二三年其処に住み慣れさえすれば格別|跋渉《ばっしょう》の苦し....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
なって、その人をも抱き込んでいかなけりゃあならないのだ。この世で叶わぬ恋の夢を、
針の山のぼりの道中で、晴らさなけりゃあならないのだ。お前はこれからどうあっても、....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
ぐり廻って落ち行く先だよ。修羅や畜生、餓鬼道越えて。ドンと落ちたが地獄の姿じゃ。
針の山から血の池地獄。大寒地獄に焦熱地獄。剣樹地獄や石斫地獄。火煩、熱湯、倒懸地....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
ぎ石に、ふだんの山洪水が、すさまじく押し出した石滝が、乗っかけて、見わたす限り、
針の山に剣の阪で、河原蓬の寸青が、ぼやぼやと点じているばかりだ。 ゴート路を下....
「海底都市」より 著者:海野十三
忍び入ったる罪は、今、裁《さば》かれようとしているのだ。僕はもう観念した。たとえ
針の山であろうと無間地獄《むげんじごく》であろうと、追いやられるところへ素直《す....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
がさす、笛の音に影がさす、按摩の笛が降るようだ。この寒い月に積ったら、桑名の町は
針の山になるだろう、堪らねえ。」 とぐいと呷って、 「ええ、ヤケに飲め、一杯ど....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
て、積った雪が摺れる枝の、さいかちに手足が裂けて、あの、実の真赤なのを見た時は、
針の山に追上げられる雪の峠の亡者か、と思ったんですがね。それから……立樹に結えら....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
起上った。 (我慢なさい。こんな事をしていちゃ、生命にも障りましょう。血の池でも
針の山でも構わず駈出して行って支度して迎に来ます。) と声も震えながら云うと、....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
化けになるんだと教えた。後で、母にきいた時、 「いい子は神様のところ。悪い子は、
針の山や火の海を越えてゆくの」 ときかされた。そして女中がお化けになると云った....
「芽生」より 著者:宮本百合子
と、名人のかいた山水とならんであるとすると、山水は一寸いいかげん見て置いて地獄の
針の山に追い上げられる亡者や、火の池をおよぎそこねるものなんぞを「ずいぶんいやな....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
夫人の部屋の扉を、ノックすると、 「どうぞ!」と、いう馬鹿丁寧な返事に、新子は
針の山へ入る思いで、部屋にはいった。 招じられたぜいたくな椅子にも、剣が植えて....
「多神教」より 著者:泉鏡花
い。つけつけと吐す事よ。これは気が変になったと見える。 お沢 いいえ、夢は地獄の
針の山。――目の前に、茨に霜の降りましたような見上げる崖がありまして、上れ上れと....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
っしゃるんだよ。 除けるも退くもありゃしません。 牛頭馬頭にひッぱたかれて、
針の山に追い上げられるように、土手へ縋って倒れたなりに上ろうとなさると、下草のち....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
が子と名のつくものが欲しい。――もし、そんな子があって、子に引かれて行くならば、
針の山へでも登ってゆくよ。……何を迷っているのさ、お袖さん。行っておやりなね。あ....