針鼠[語句情報] »
針鼠
「針鼠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
針鼠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
わ》ったの――私が悪るかったわ。本当に五重の塔は面白いのよ。御世辞じゃない事よ」
針鼠《はりねずみ》は撫《な》でれば撫でるほど針を立てる。小野さんは、破裂せぬ前に....
「行人」より 著者:夏目漱石
、ほとんど警戒を要しないほど穏かになった。
自分は心のうちでこの変化に驚いた。
針鼠《はりねずみ》のように尖《とが》ってるあの兄を、わずかの間に丸め込んだ嫂の手....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
間に光を失ってしまったのだ! 漢青年の毛髪は、あまりの恐ろしさのために、まるで
針鼠のように逆立った。 「真逆!」 窓の外を見ようとして振返ったが、そこには同....
「若き日の成吉思汗」より 著者:林不忘
一種の点呼)合撒児《カッサル》の手は、十本の指がみな毒蛇、哲別《ジェベ》の白髪は
針鼠、忽必来《クビライ》の胸は鉄の楯だ。速不台《スブタイ》の脚は、千里を往く牡鹿....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
本の糸のようにつぎからつぎへと毒針がとびだしてくる。机博士はみるみるうちに、全身
針鼠のようになって、床のうえに倒れ、しばらく七転八倒していたが、やがて、ピッタリ....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
ころでお前は馬鹿だな。何んで昨日は俺にむかって来たのだ」 そら! 左官はまるで
針鼠のように震えあがってしまった。黒眼鏡は唾の足りない口から、パン屑をぼろぼろこ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
殺されて?」 山の娘は、今度は走り出さないで、十余人が一度にかたまってしまう。
針鼠《はりねずみ》は危険に遭うた時は、敵へ向っては反抗しないで、かえってわが身を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、険山難路を過ぐる時は必ず集合する。事急なる時は必ず密集する。密集すれば、獅子も
針鼠を食うことができない。ナポレオンも、アレキサンダーも、密集の利益を認めていた....
「文学以前」より 著者:豊島与志雄
だけが亀なのである。 第二の寓話―― 支那のものとされているが、ドイツの兎と
針鼠の話と同様なものである。 広い河のふちで、亀と烏とが仲よしになりました。と....
「善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
光らせ高縁の辺りを見詰めている。腕を組み体を縮め足を曲げて胸へ着けた様子、ざっと
針鼠と云った塩梅、これが曲者当人である。 「ええどうでえ美人じゃねえか。どうもこ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
一ぱいに生やし、夢と迷いに向けて小さい眼を光らし、狙いばかりつけて、却って自分は
針鼠のように居竦まっている年頃である慧鶴は春、清水へ行き、そこの禅叢の衆寮へ入れ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
、お師匠様が、何かやりだすぞ) 般若野における武蔵の雄姿を思いだし、彼もまた、
針鼠のように筋肉を膨らませていた。 ――見ると、その間に、庄田喜左衛門と出淵孫....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
て、生々しいその新板と墨のにじみを凝視した。文字を読んでいるだけで、彼のからだは
針鼠のように闘志と血に膨らんで丸くなった。 「……あ痛、ああ痛い」 武蔵は、ま....
「三国志」より 著者:吉川英治
た」 太史慈は、急に引返したが、一瞬のまに射立てられた矢は全身に刺さってまるで
針鼠のようになっていた。 李典、楽進の輩は、この図にのって城中から大反撃に出た....
「三国志」より 著者:吉川英治
車隊とでもいうか、鋼鉄をもって囲んだ戦車をつらねている。鉄車のまわりには、各箇、
針鼠のように釘の如き棘を一面に植え、中に兵が住んでいる。どうしてあれを撃滅できよ....