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釣舟
「釣舟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
釣舟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二十世紀旗手」より 著者:太宰治
キンもとより論を待たず、芭蕉、トルストイ、ジッド、みんなすぐれたジャアナリスト、
釣舟の中に在っては、われのみ簑《みの》を着して船頭ならびに爾余《じよ》の者とは自....
「幻談」より 著者:幸田露伴
すから、ちゃんと座敷のようになるので、それでその苫の下|即《すなわ》ち表の間――
釣舟《つりぶね》は多く網舟《あみぶね》と違って表の間が深いのでありますから、まこ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
軽に表から声をかけた。 「おい、親方はいるかえ」 船宿といっても、ここは網船や
釣舟も出す家《うち》であるから、余りにしゃれた構えでもなかった。若い船頭が軒さき....
「播州平野」より 著者:宮本百合子
遠目にみえた。その浜つづきに、板三枚ほどの幅の埠頭が入江に向って突出ていた。一見
釣舟の出入りするようなその埠頭へ、夜になると、そっと軍人が集った。そして、人間魚....
「あひると猿」より 著者:寺田寅彦
候が著しくおくれているらしく思われた。たとえば去年は八月半ばにたくさん咲いていた
釣舟草がことしの同じころにはいくらも見つからなかった。そうして九月上旬にもう一度....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
り、様子を聞くと、殿様がいらっしゃっては邪魔になるゆえ、来月の四日中川にて殿様を
釣舟から突落して殺してしまい、体能くお頭に届けをしてしまい、源次郎を養子に直し、....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
てかへり見すれば月かたぶきぬ」(巻一・四八)、「風をいたみ奥つ白浪高からし海人の
釣舟浜に帰りぬ」(巻三・二九四)、「あらたまの年の緒ながく吾が念へる児等に恋ふべ....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
履の裏には泥こそついていないが、そのかわり、魚の鱗《うろこ》がついていましたぜ。
釣舟へのせて大川からここまで上って来たにちがいありません、そこにお気がつかれぬと....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
。さればこの水上にも妓《ぎ》を載せ酒を酌《く》むの屋形船なく、花を外《よそ》なる
釣舟と筏《いかだ》と鴎《かもめ》とを浮ばしむるのみ。この傾向は吉原を描きし図にお....
「放水路」より 著者:永井荷風
も堅固な鉄板を以って造られ、太い鎖の垂れ下っているのを見た。乗合の汽船と、荷船や
釣舟は皆この水門をくぐって堤の外に出て行く。わたくしは十余年前に浦安に赴く途上、....
「向島」より 著者:永井荷風
過ぎた頃かと思う。季節が少し寒くなりかかると、泳げないから浅草橋あたりまで行って
釣舟屋の舟を借り、両国から向嶋《むこうじま》、永代《えいたい》から品川の砲台あた....
「深川の唄」より 著者:永井荷風
の障子《しょうじ》が見え、石垣の下には舟板を一枚残らず綺麗《きれい》に組み並べた
釣舟が四、五|艘《そう》浮いている。人通りは殆《ほとん》どない、もう四時過ぎたか....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
とう存じまする」 お通は、ふと、涙をうるませ、苫の陰から、沖をながめた。 蛸
釣舟や、荷舟や、幾つかの舟影は見えたが、彼女の待つ堺港から立った豊前通いの便船は....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
月二十一日の夕ごろ、波間も見せぬほどな大船列が、室ノ津にかかり、やがて夜は、烏賊
釣舟のような無数の灯を近々と見せていた。 室ノ泊の群船に一夜が明けた翌日だった....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
どではないが、川魚までが、美味なのはたいがい禁制項目に入っている。漁師、漁具屋、
釣舟屋など、みな商売にならない。 が、裏には裏があり、闇舟屋も闇漁師もいるらし....