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釣針
「釣針〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
釣針の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「令嬢アユ」より 著者:太宰治
数種買い求め、財布にいれて旅に出るのだ。そんなにも好きで無いのに、なぜ、わざわざ
釣針を買い求め旅行先に持参してまで、釣を実行しなければならないのか。なんという事....
「二人の兄弟」より 著者:島崎藤村
竿《つりざお》一本売る店がありませんでしたから。 お爺さんは何処《どこ》からか
釣針を探《さが》して来ました。それから細い竹を切って来まして、それで二本の釣竿を....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
鏡を取出しました。玉の塵《ほこり》を襦袢《じゅばん》の袖口《そでぐち》で拭いて、
釣針《つりばり》のように尖《とが》った鼻の上に載せて見て、 「これなら私にも、明....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
のう、殿たち、人間が無いに因って、時々来ては攫えて行く……老若男女の区別は無い。
釣針にかかった勝負じゃ、緑の髪も、白髪も、顔はいろいろの木偶の坊。孫等に人形の土....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
なんという出鱈目な女だろう!」 僕は奔放な彼女の性格に愕きながらも、大きい鯉を
釣針から逃がしたような気がしないではなかった。――まあ動坂さんだわ……といったが....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
もある。ここには鶏を盗むことを商売にしている人がある。雄鶏と牝鶏と遊ぶところへ、
釣針で餌をくれ、鳥の咽喉に引掛けて釣取るという。犬を盗むものもある。それは黒砂糖....
「海底都市」より 著者:海野十三
った。僕はあきれてしまった。僕は少年にちがいない。それだのに、なぜこの鏡の中には
釣針《つりばり》ひげの大人の顔がうつるのであろうか。 「こののちは、どうぞご冗談....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
の毛糸を幾本かあつめて撚糸にし、また、屋根板から一本の釘を抜取って、これを曲げて
釣針をつくって釣りをした。 はじめ、餌の代りに、靴底の革を切って
釣針につけて、....
「鯉」より 著者:豊島与志雄
いた道具をマントの下に忍ばして、この池の縁までやって来た。道具というのは、大きな
釣針を畳糸でステッキの先に結びつけたもの、蚯蚓数匹、大きな竹の筒、風呂敷一枚、そ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
自分一人の用に独占しようとした。そしてクリストフも、何かを匂《にお》わせる微笑の
釣針《つりばり》を、少しくわえないでもなかった。もし彼に健全な良識がなかったなら....
「山の別荘の少年」より 著者:豊島与志雄
たちに、この淵で大きななまずを見た者はないかとたずねてみました。 ここではよく
釣針《つりばり》をとられるから、大きななまずかなんか、そんなものがいるかも知れな....
「西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
大して金儲けには関係はないが、『織留』の中にある猫の蚤取法や、咽喉にささった
釣針を外ずす法なども独創的巧智の例として挙げたものと見られる。 それはとにかく....
「土佐の地名」より 著者:寺田寅彦
ヌ※の義である。 伊尾木 「イオチ」は蛇の居るである。 あるいはアイヌ「イオク」
釣針で捕るすなわち釣魚の義か。サカイ語では「カドー」でこれが門谷のカドに関係する....
「博物誌」より 著者:岸田国士
の枝を折って、なんなく釣竿をこしらえる。外套にピンが一本さしてある。それを曲げて
釣針にする。 釣糸にも困りはしない。 しかし、それだけは揃っても、まだ毛糸の....
「鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
に気をとられていて、いっこうに覚らなかったらしいのです。鰻をたべた人は又つづけて
釣針をおろしていました。それから松島さんとふた言三言お話をして、わたくしどもはそ....