釣革[語句情報] »
釣革
「釣革〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
釣革の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
女の顔を思い浮かべた。 その少女はつつましい微笑を泛《うか》べて彼の座席の前で
釣革に下がっていた。どてらのように身体に添っていない着物から「お姉さん」のような....
「硝子戸の中」より 著者:夏目漱石
クの上へ、とんびのような外套《がいとう》をぶわぶわに着ていた。そうして電車の中で
釣革《つりかわ》にぶら下りながら、隠袋《かくし》から手帛《ハンケチ》に包んだもの....
「明暗」より 著者:夏目漱石
電車に乗った時の彼の気分は沈んでいた。身動きのならないほど客の込み合う中で、彼は
釣革《つりかわ》にぶら下りながらただ自分の事ばかり考えた。去年の疼痛《とうつう》....
「山羊髯編輯長」より 著者:夢野久作
と運転手から怒鳴られるまにまに吾輩はグングンと中の方へ身体を押し込んだ。マン中の
釣革にブラ下っている縞の釣鐘マントの横に身体を押し付けながら、素早くマントの裾を....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
も気がひけて「僕は自動車には乗りませんから」と断わって電車に乗ってからも、葉子が
釣革に垂れ下がりながら先生々々と口癖のように言って何かと話しかけるのに辟易したこ....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
読める新聞ぐらいなら格別、真面目な読書に精神を集中する事は迚も出来ない。且大抵は
釣革に揺下るのだから、まごまごしていれば足を踏まれる、車が停ったり動いたりする度....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
賞の自由が与えられて来た。街路では洋装の裾から二本の足が遠慮なく出ている、電車の
釣革から女の腕がぶら下る、足の美しさがグラビヤ版となって世界に拡がる、そして娘の....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
詰めて行こうとして、ひょいと見た途端、 「あッ!」 と思った。 出口に近く、
釣革にぶら下っている腕を見たのだ。 青い刺青の腕だ。その横にさっきの唖の娘が乗....
「深川の唄」より 著者:永井荷風
し前垂掛《まえだれが》けの女が、二人一度に揃《そろ》って倒れかけそうにして危くも
釣革《つりかわ》に取りすがった。同時に、 「あいたッ。」と足を踏まれて叫んだもの....