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鈍刀
「鈍刀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鈍刀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「八十八夜」より 著者:太宰治
、そぞろに我が心を躍らしむ。」とばかりに、人の心の奥底を、ただそれだけを相手に、
鈍刀ながらも獅子奮迅《ししふんじん》した、とかいう話であるが、いまは、まるで、だ....
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
れ入ります」 と云いながら刀を拾って逃出《にげだ》しましたから、 文「そんな
鈍刀《なまくら》では人は斬れません」 と笑いながら文治は跡を見送って、 文「....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
て……。この次郎左衛門はこれまでに幾たびとなく血の雨を浴びて来た男だ。貴様たちの
鈍刀《なまくら》がなんだ、白痴《こけ》が秋刀魚《さんま》を振り廻すような真似をし....
「草枕」より 著者:夏目漱石
風に、腥《なまぐさ》き微温《ぬくもり》を与えつつあるかと怪しまれる。その間から、
鈍刀《どんとう》を溶《と》かして、気長にのたくらせたように見えるのが海の色だ。 ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
とは判らないらしかった。鋭い爪で茨掻《ばらが》きに引っ掻きまわしたのか、あるいは
鈍刀《なまくら》の小さい刃物で滅多やたらに突き斬ったのか、その辺はよく判らないと....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
――くどくは申さぬ、とは、どやつの口から出た雑言じゃ、たわけものめが、その方らの
鈍刀をつきつけて、おこがましくも、拙者に腹を切れと申しおったな、ふやけた脳味噌ど....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
いつ等の喧嘩のことだから、生命知らずに切っつはっつだ。その時、間抜けな弁公の奴、
鈍刀《なまくら》で、横っ腹を突かれたのがもとで、身動きも出来ねえことになる。喧嘩....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
来ことのほか暑くて、庭の夏草のいきれさえ息苦しいような家のなかで、伸子は、いまは
鈍刀の庖丁で刻まれる思いから、ほそい絹糸でからだじゅうをきつく縛られているような....
「断水の日」より 著者:寺田寅彦
究を経て来たものでないとすると、実際われわれは心細くなる。質の研究のできていない
鈍刀はいくら光っていても格好がよくできていてもまさかの場合に正宗の代わりにならな....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
でぼたぼたしている。両者の音韻に於ける切れ味《あじ》は、すくなくとも鋭利な刃物と
鈍刀ぐらいの相違がある。 そもそもこの二つの言語に於ける、特色上の相違はどこか....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
とってくれ」 「へえ、左様でございますか」 三十文の抵当に刀一本。たとえどんな
鈍刀《なまくら》にしろ引合わぬということはない。亭主の機嫌が少し直り、 「どうも....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
い。横を向いていた武士の顔が、廊下に突っ立っている、四人の浪人の方へ向いた。 「
鈍刀じゃ、四本とも悉く
鈍刀じゃ。お返し申す」 四本の刀が、すぐに、紙帳の裾から....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
ゃあこの首あ遠国の者かな――が、江戸も広えや、のう。」 「あいさ、斬口あ?」 「
鈍刀《どす》だ、腕もねえ――さ、口中だ。歯並び、舌の引釣り、勢《せい》があるぞ。....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
帝国ホテルのダンス場の剣舞隊闖入となった。ダンスに夢中になってる善男善女が刃引の
鈍刀に脅かされて、ホテルのダンス場は一時暫らく閉鎖された。今では余熱が冷めてホテ....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
しだ、これを見ねえ」 と束の刀を投り出すを受取り見て、 重「これは蹈めません、
鈍刀で、稍く一両二分ぐらいなものでございます」 仙「こんなものを差しやアがッて、....