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「鈍痛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鈍痛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
ような健康の意識はその後葉子にはもう帰って来なかった。寒気が募るにつれて下腹部が鈍痛を覚えるばかりでなく、腰の後ろのほうに冷たい石でも釣《つ》り下げてあるような....
眼帯記」より 著者:北条民雄
が眼玉の上に載せられているような感じがして、球を左右に動かせると、瞼の中でひどい鈍痛がする。私は思いあたることがあったので、はっとして眼を開いてみたが、ものの十....
私の個人主義」より 著者:夏目漱石
す。しかしこの私は学校を出て三十以上まで通り越せなかったのです。その苦痛は無論|鈍痛《どんつう》ではありましたが、年々|歳々《さいさい》感ずる痛《いたみ》には相....
満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
どこが不安だろうと、局所を押えにかかると、どこも応じない。ただ曇った空のように、鈍痛《どんつう》が薄く一面に広がっている。苦《にが》い顔をして食堂へ下りて飯をす....
語られざる哲学」より 著者:三木清
に駆られて私の目の前に現われる何物にでも手を動かした。その頃の私はちょうど執拗な鈍痛を頭に覚える男がそれを鎮めようとして無暗に頭をぶっつけ廻るようなものであった....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
に経験しているのはうそではないから。その苦しさのうたに自分からいつか眠らされて、鈍痛的無気力状態に陥り、生活感情を合理的にもってゆける人間に対して、女同志である....
二つの途」より 著者:豊島与志雄
ていた。それを手近に引寄せたかった。眼をつぶると、気が遠くなるような重い後頭部の鈍痛から、暗い闇が襲いかかってきた。 九 朝から吹き出した風が、晩になると可な....
立枯れ」より 著者:豊島与志雄
しさのために、解消された形だった。だが、中江にしてみれば、彼女が時々胃部や腹部に鈍痛を感じ而もその鈍痛があちこち移動することや、また胸部に圧痛を覚えたりすること....
食慾」より 著者:豊島与志雄
りかんだり、しゃぶったりして、如何にもおいしそうです。私は縁側にしゃがんで、遠い鈍痛のこもってるような胃部を押えて、彼の様子を眺めていましたが、彼は鰹節をしゃぶ....
お奈良さま」より 著者:坂口安吾
ならなかった。さしたる負傷ではなかったが、犬の咬傷は治りがおそく、また、かなりの鈍痛をともなうもので、その晩はちょッと発熱して悪夢にいくたびとなくうなされた。 ....
温浴」より 著者:坂口安吾
が悪いのである。それがメガネのツルを支えている鼻梁の疲れを代表者として頭の廻転に鈍痛を加えてくるのである。 その苦痛を天城先生に訴えたら、洗眼器をかして下さっ....
次郎物語」より 著者:下村湖人
らった蟇口とを懐に入れていたが、それらは無事だった。 肩や腿のへんに二三ヵ所|鈍痛が感じられ出したが、次郎はほとんどそれを気にしなかった。彼が最も気にしたのは....
漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
沢も出来ず閉居の体。しかも眼がわるく胃がわるく散々な体。服薬の御蔭にて昨今は腹の鈍痛だけは直り大に気分快壮の方に候。いつか諸賢を会して惜春の宴でも張らんかと存候....
変身」より 著者:カフカフランツ
を見ないでもすむようにしていたが、わき腹にこれまでまだ感じたことのないような軽い鈍痛を感じ始めたときに、やっとそんなことをやるのはやめた。 「ああ、なんという骨....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
て、なおも洗濯を続けた。彼はすべての動作を機械的に運び心は例の疑問の究明に向って鈍痛を覚えるほど頭の一処は熱く凝らして居た。で、彼は肌着を掛竿で西陽に当てて干し....