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鉄扇
「鉄扇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鉄扇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
言を、けろりとして世辞に云って、衣兜から御殿持の煙草入、薄色の鉄の派手な塩瀬に、
鉄扇かずらの浮織のある、近頃行わるる洋服持。どこのか媒妁人した御縁女の贈物らしく....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
をぶっ込んで、朴歯の高い下駄をがらつかせた若侍が、大手を振ってはいって来た。彼は
鉄扇を持っていた。悠々と蒲団の上にすわって、角細工の骸骨を根付にした煙草入れを取....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
で山火事無用じゃ」 と、言ったかと思うと、ぱっと飛び降りざまに、三好入道の頭を
鉄扇でしたたか敲くと、入道は眼をまわして、気絶してしまった。 見ていた幸村は、....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
うち、いざこれよりは拙者お相手、お下がりあるな下がってはならぬ」 大小を置くと
鉄扇を握り、場の真ん中へ突っ立った。 場内シーンと静まり返り咳一つするものはな....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ずむと、壱岐殿坂の真中あたりで、俥夫は吹消した提灯を、鼠に踏まえて、真鍮の煙管を
鉄扇で、ギックリやりますし、その方は蝦蟇口を口に、忍術の一巻ですって、蹴込へ踞ん....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
。僕の処へもよく遊びに来る、肩のあがった、武者修行のような男。」 「ああ、ああ、
鉄扇でものをいう人かえ。」 「うむ、彼奴さ、彼奴がさ。髯の傍へずいと出て、席から....
「梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
ない大立者だ。この浄瑠璃を語り初めた和泉太夫というのは、高座へ上るには二尺余りの
鉄扇を持って出て、毎晩舞台を叩きこわしたそうだが、そんな殺伐なことがまだ戦国時代....
「鵞湖仙人」より 著者:国枝史郎
ヌッと這入って来た武士がある。野袴に深編笠、金銀こしらえの立派な大小、グイと
鉄扇を握っている、足の配り、体のこなし、将しく武道では入神者。 「よい天気だな、....
「弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
めていた。くくり袴、武者|草鞋、右の肩から左の脇へ、包を斜に背負っていた。手には
鉄扇をたずさえている。深く編笠をかむっているので、その容貌は解らなかったが、体に....
「善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
人の武士がつと現われる。 「高貴のお方に無礼千万! 覚悟致せ!」と声も凜々しく、
鉄扇でピシッと打ちひしぐ。 「わ――ッ、いけねえ! 邪魔が出たア!」 最初の勢....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
れまた柄頭から相手の眼を、凝然と見詰めたものである。 突き出された一本の
鉄扇 木彫りの像でも立てたように、二人はじっと静まっていた。双方無駄な掛け声さ....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
羽、青羅紗の柄袋、浅黄甲斐絹の手甲脚半、霰小紋の初袷を裾短かに着て、袴は穿かず、
鉄扇を手に持つばかり。斯うすると竜次郎の男振りは、一入目立って光るのであった。 ....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
から腋の下へ斜に、渋段々染の風呂敷包を結び負いにして、朱鞘の大小ぶっ込みの他に、
鉄扇まで腰に差した。諸国武者修業の豪傑とは誰の眼にも見えるのが、大鼻の頭に汗の珠....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
えない時であった。 丘の周囲を、振袖の一行――稚児髷に、友染の袖、緋の襷して、
鉄扇|擬の塗骨の扇子を提げて義経袴を穿いた十四五の娘と、またおなじ年紀ごろ……一....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
をぶっ込んで、朴歯の高い下駄をがら付かせた若侍が、大手を振って這入って来た。彼は
鉄扇を持っていた。悠々と蒲団の上に座って、角細工の骸骨を根付にした煙草入れを取出....