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「鉄桶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鉄桶の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
苦悩の年鑑」より 著者:太宰治
らなかった。さすがに民衆も、はずかしくて歌えなかったようである。将軍たちはまた、鉄桶という言葉をやたらに新聞人たちに使用させた。しかし、それは棺桶を聯想《れんそ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
し、ある建具は破れた此の野中の一つ家と云った様な小さな草葺を目がけて日暮れ方から鉄桶の如く包囲しつゝずうと押寄せて来る武蔵野の寒を骨身にしみて味わった。風吹き通....
三国志」より 著者:吉川英治
いのがれようとしても、耳を貸さなかった。 「とにかく、役所へ引ッ立てろ」 兵は鉄桶の如く、曹操を取り囲んで、吟味所へ拉してしまった。 関門兵の隊長、道尉|陳....
三国志」より 著者:吉川英治
りは楽進の弩弓隊、東北よりは夏侯惇の舞刀隊、西北よりは夏侯淵の飛槍隊など、八面|鉄桶の象をなしてその勢|無慮十数万――その何十分の一にも足らない張飛、玄徳の小勢....
三国志」より 著者:吉川英治
らに、前進して夷陵へ近づいた。 夷陵の城は桶の如く敵勢に囲まれている。誰かその鉄桶の中へ入って、城中の甘寧と聯絡をとる勇士はないか――と周瑜がいうと、 「それ....
三国志」より 著者:吉川英治
打ちぎわが見えた。 ここには呂蒙と甘寧とが、大兵を伏せて、関羽を討ち漏らさじと鉄桶の構えを備えていたのであるが、関羽の右手に、見る眼もくらむばかりな大反の偃月....
三国志」より 著者:吉川英治
をながめた。愕くべし満地の山川ことごとく呉旗呉兵と化している。いわゆる蟻も通さぬ鉄桶の囲いである。しかも隊伍|斉々、士気は高く、馬のいななきも旺である。 関羽....
私本太平記」より 著者:吉川英治
の辺には、何も怪しいうごきは見えませぬか」 「は。いまのところは」 「京の内外、鉄桶のごときこの警戒には、さしも企んでいた残党どもも、ついに手も足も出せずに終っ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
―ほか遊撃隊の五百、三百、あるいは百ぐらいな侍によってなる、いわゆる無数な小隊の鉄桶だった。 これが、遠くは麓の観心寺や佐備、天野から、なお視界の外の裏金剛の....