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「鉄環〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鉄環の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
倫敦塔」より 著者:夏目漱石
便《たよ》りを失った。ただ向う側に存する血塔《けっとう》の壁上に大《おおい》なる鉄環《てっかん》が下《さ》がっているのみだ。昔しは舟の纜《ともづな》をこの環《か....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
で糊よりもすべる船板の上を君ははうようにして舳のほうへにじり寄り、左の手に友綱の鉄環をしっかりなしに打ち込む浸水を急がしく汲んでは舷から捨てている。命がけに呼び....
十二支考」より 著者:南方熊楠
なし。伯の軍勢空腹を医するため飲食を掠《かす》むる内、常より大きな雄鶏、一脚に大鉄環を貫けるを見、これは魔物故食わぬがよいと賢人の言に従わず、打ち寄せて殺し、裂....
フランドン農学校の豚」より 著者:宮沢賢治
へぶっつけた。 そのひるすぎに又助手が、小使と二人やって来た。そしてあの二つの鉄環《てつわ》から、豚の足を解いて助手が云う。 「いかがです、今日は一つ、お風呂....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ふと考案をめぐらして、樹脂の代わりに漆を用い、また特に腕輪には、はんだづけにした鉄環《てつわ》の代わりにただ嵌《は》め込んだ鉄環を使った。ただそれだけの変化であ....
剣侠」より 著者:国枝史郎
嘉門であり、もう一人は逸見多四郎であった。 二人の眼前にあるものといえば、鋲や鉄環で鎧われたところの、巨大ないくつかの唐櫃であり、その中に充ちている物といえば....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
してものもいうものはない、四人はだまって想像にふけった。木ぎれは蘚苔にくさって、鉄環は赤くさびている、風雨|幾星霜、この舟に乗った人は、いまいずこにあるか、かれ....
浅瀬に洗う女」より 著者:マクラウドフィオナ
て手を引いた、さきに落ちた死人の冷たい硬ばった顔の上に手が触れたのであった。船の鉄環であけられた革の割目に死人の長い髪がひっかかっていたのだった。 その後の一....
三国志」より 著者:吉川英治
いよいよ楊松を信頼して、何事も彼に諮ったが、もう南鄭も落城し、漢中市街は、曹軍の鉄環につつまれんとしていた。 すでに外郭の防禦も抛棄して、味方は四散しだしたと....
三国志」より 著者:吉川英治
をねがうわけで」 「何かと思えば、そんな用意か。大事ない、存分に療治してくれい」鉄環を除って、そのまま、手術を請うた。 華陀は瘡を切開しにかかった。下に置いた....
三国志」より 著者:吉川英治
、張※はおびただしい奇兵を駆って、 「蜀の名だたる大将首を」と、これもその大包囲鉄環のうちにとらえんとしたが、王平軍、高翔軍の側面からの援けもあって、遂に意を達....