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「鉄窓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鉄窓の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
られたのだった。聖書窃盗の嫌疑を受けて逃亡した彼は、こゝに他日恐ろしい罪名の許に鉄窓に十年の長きに亘って坤吟する呪わしい贖罪の第一歩を踏み出したのだった。 縛....
メデューサの首」より 著者:小酒井不木
個の大きなメデューサの首に見えたのです。そうして幾筋とも知れぬ焔の蛇が、わたしが鉄窓から覗いたときにいっせいにわたしのはうにのめりかかってくるように思いました。....
模倣と独立」より 著者:夏目漱石
の便利を計るために、一種の制裁なり法則というものを拵えて、弱い女を無視してそれを鉄窓《てっそう》の中に押し込めたのが今日までの道徳というものであるといっている。....
法窓夜話」より 著者:穂積陳重
諾し、自ら進んで囹圄《れいご》の人となり、それより我夫とともに、甘んじて一生涯を鉄窓の下に呻吟《しんぎん》しようとしたのであった。 当時グローチゥスは三十六歳....
日は輝けり」より 著者:宮本百合子
るとき、彼女の心の中には、ちょうど囚人が、爪の間にかくせるほどの鑢《やすり》で、鉄窓のボールトをすり切ろうとしているときの通りの、寸分異わない熱心さ――常識で判....
小景」より 著者:宮本百合子
ェイスの金文字で、YAMAZAKIと読めた。 西角は、ひどく塵のたかった銀行の鉄窓と、建築にとりかかったばかりの有名な時計屋の板囲いとに、占められている。 ....
日記」より 著者:宮本百合子
をあたえた。 黄金色の落葉の群の小路、若草の広野。私は都をはなれた気持がした。鉄窓の中で人間の恋を真似てる猿を大きな万物の霊長と自任して居る人間達が愚かしい笑....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
からの手紙である事を知る必要から、時分の宛名に姓名の置換をさせていたのだ。冷酷な鉄窓裡に呻吟し、長い間の苦心惨憺! 厳重な獄裡の隙を覗いつつ一字一句におそれと悲....
鼻に基く殺人」より 著者:小酒井不木
、吸いつけられるように読みはじめた。 また犯罪日誌の書けるのが悦ばしい。獄舎の鉄窓をもれる月光のもとに、絞首台の幻影を掻きわけながらペンを走らす犯罪日誌は、本....
牢獄の半日」より 著者:葉山嘉樹
が終ると、――私は船乗りだったから、負傷に対する応急手当は馴れていた――今度は、鉄窓から、小さな南瓜畑を越して、もう一つ煉瓦塀を越して、監獄の事務所に向って弾劾....
上海」より 著者:横光利一
ぶつぶつした肌、切られた真赤な水慈姑、青々と連った砂糖黍の光沢、女の沓や両替屋の鉄窓。玉菜、マンゴ、蝋燭、乞食、――それらのひっ詰った街角で、彼はさてこれからど....