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「鉄線〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鉄線の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
わ》を勘定しているかと思われる。容易に顔を上げない。宗近の阿父《おとっ》さんは、鉄線模様《てっせんもよう》の臥被《かいまき》を二尺ばかり離れて、どっしりと尻を据....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
たことがあるので、ちょっとした小初の好きな喰べものぐらい心得ていた。浅夜に瀟洒な鉄線を組み立てている清洲橋を渡って、人形町の可愛らしい灯の中で青苦い香気のある冷....
蘆声」より 著者:幸田露伴
くにやがて喰総めた。こっちは合せた。むこうは抵抗した。竿は月の如くになった。綸は鉄線の如くになった。水面に小波は立った。次いでまた水の綾が乱れた。しかし終に魚は....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
(大正十三年六月、渋柿) * 三、四年前に、近所の花屋で、小さな鉄線かずらを買って来て、隣家との境の石垣の根に植えておいた。 そのまわりに年々....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
得るや否、疑問である。新宿八王子間の電車は、儂の居村から調布まで已に土工を終えて鉄線を敷きはじめた。トンカンと云う鉄の響が、近来警鐘の如く儂の耳に轟く。此は早晩....
風琴と魚の町」より 著者:林芙美子
《さばく》のように広かった。四隅《よすみ》に花壇《かだん》があって、ゆすらうめ、鉄線蓮《てっせんれん》、おんじ、薊《あざみ》、ルピナス、躑躅《つつじ》、いちはつ....
文士としての兆民先生」より 著者:幸徳秋水
跡を斂めたることなし。我日本の帝室は開闢の初より尽未来の末迄縦に引きたる一条の金鉄線なり。載籍以来の昔より今日並に今後迄一行に書き将ち去るべき歴史の本項なり。初....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
方なき女持ちの提紙入で。白い桔梗と、水紅色の常夏、と思ったのが、その二色の、花の鉄線かずらを刺繍した、銀座むきの至極当世な持もので、花はきりりとしているが、葉も....
貧乏」より 著者:幸田露伴
の燗徳利は女の左の手に、いずれ内部は磁器ぐすりのかかっていようという薄鍋が脆げな鉄線耳を右の手につままれて出で来る。この段取の間、男は背後の戸棚に※りながらぽか....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
ていた。金庫が一つ横だおれになっていた。ピアノの鉄の棒が、ぐんにゃりまがって細い鉄線がぶつぶつ切れになっていたし、電蓄も、電蓄だと解らぬ位に残骸のみにくさを呈し....
魔都」より 著者:久生十蘭
あったのが震災で跡形もなくなり、粗末な海鼠《なまこ》板で囲った囲地の中は、赤錆の鉄線やら煉瓦の堆積やら、足ぶみもならぬほど押重なって、おどろおどろしい廃頽のさま....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
て長い。渡り鳥の一種で、姿の上品な趣のある鳥です)。それが済むと次は同じく欄間で鉄線蓮唐草の図(鉄線蓮はよく人家にある蔓草で、これも紋様などにして旧くから使われ....
食道楽」より 著者:村井弦斎
覧になると、上段の註に玉子廻しの器械の図が二ツ出ています。その一《ひ》とつの方は鉄線《はりがね》を寄せたのですから誰《た》れにでも出来ます。ちょうど素麺《そうめ....
食道楽」より 著者:村井弦斎
糖とを混ぜます時はこういう風に色の白くなるまで煉らなければなりません。煉るものは鉄線《はりがね》の玉子廻しかさもなければお箸《はし》を五、六本片手に持ってよく丹....
俗臭」より 著者:織田作之助
類の相場が鰻上りするのを予想して、廃球買いのため出入していた電灯会社に頼んで古銅鉄線、不用レールや不用発電所機械類などを払下げてもらったことだ。最初会社側では相....