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「鉄鉢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鉄鉢の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
べてある宝物に向って、私にこれを写生しとき給えと命じた。それは一休の持ったという鉄鉢《てっぱつ》と、頓阿弥《とんあみ》の作ったという人丸の木像であった。 私が....
新生」より 著者:島崎藤村
に近づいた。遠く東洋の空の方から来た旅人としての彼を見て何か寄附でも求めるらしく鉄鉢《てっぱつ》のかたちに似た器を差出して見せた。その尼僧は仏蘭西人だ。一人の乞....
寒山拾得」より 著者:森鴎外
で切っている。目にかぶさってうるさくなるまで打ちやっておいたものと見える。手には鉄鉢を持っている。 僧は黙って立っているので閭が問うてみた。「わたしに逢いたい....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
と驚いたに相違ない。 島を取り巻いている岩壁に、仏像が刻まれているからである。鉄鉢を両手で捧げた者、猛虎を足に踏まえた者、香炉に向かって坐っている者、合掌し結....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
らじ》の旅の武士。 槍持に槍を持たせて従者あまた引連れたしかるべき身分の老士。鉄鉢の坊さんが二人づれ。 油屋の小僧が火と共に一散に走る。 杖に笠の伊勢詣り....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
。 宗旨はなんだか知らないが、尼はきょうも隣り村へ托鉢に出たとみえて、片手には鉄鉢をささげていた。片手には珠数をかけて、麻の袋をさげていた。袋のなかには米のは....
蛇性の婬 」より 著者:田中貢太郎
る上に三尺ばかりの白い蛇がとぐろをまいていた。和尚はそれを捉えて弟子が捧げている鉄鉢に入れた後で、又念じていると屏風の背から一尺ばかりの小蛇が這いだして来た。和....
長者」より 著者:田中貢太郎
子があった。某日其の長者の家へ、穢い容をした旅僧が錫杖を鳴らしながら来て手にした鉄鉢をさし出して、 「御報謝を願います」 と云った。庭前で小児の対手になって遊....
新西遊記」より 著者:久生十蘭
ので、ツァムバ(炒麦)やバタ茶の凝結乳《ヨーグルト》を常食にしていた。火にかけた鉄鉢の磚茶《たんちゃ》が煮えると、その黒汁を椀に盛り、山羊の臭いバタの厚切れを入....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
ったのに、貴いお上人さんの前にさ――」 「おちかさん。」 多津吉は、盥のごとき鉄鉢を片手に、片手を雲に印象した、銅像の大きな顔の、でっぷりした頤の真下に、屹と....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
は、ちといけない。他の――平安朝期の鍍金仏器、永正古図、薬師後背仏、永享七年銘の鉄鉢、磐梯明神田植絵巻などという奈良京都の列へ持ち出しても遜色のない歴乎とした寺....
大岡越前」より 著者:吉川英治
若僧が、網代笠に面をつつみ、施粥の列に交じっていたが、やがて自分の順番になると、鉄鉢を出して、僧侶らしく、ていねいに頭を下げた。 市十郎は、大釜の粥を、柄杓で....