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鉞
「鉞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鉞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
か》ら顔の大男で、黄牛《あめうし》の皮鎧に真っ黒な鉄の兜をかぶって、手には大きい
鉞《まさかり》を持っていた。彼は暴れ馬のように跳って柱のそばへ近寄ったかと思うと....
「俊寛」より 著者:菊池寛
その日から、泉に近い山林へ入って、木を伐った。彼が持っている道具は、一挺の小さい
鉞と二本の小太刀であった。周囲が一尺もある木は、伐り倒すのに四|半刻近くかかった....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
り調餌室というものの実感が違った。壁には、象を料理するのじゃないかと思うほどの大
鉞や大鋸、さては小さい青竜刀ほどもある肉切庖丁などが、燦爛たる光輝を放って掛って....
「蠅男」より 著者:海野十三
ある。非常に深い傷で、足の骨に切りこんでいる。もし足の甲の上にたいへんよく切れる
鉞を落としたとしたら、あんな傷が出来やしないかと思う。傷跡は癒着しているが、たい....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
は二人の姿が、だんだんかすれて見えなくなった。 すると、今度は闇の中へ、巨大な
鉞が浮かんで来た。鋭い刃がギラギラと光り、それが落ちかかって来そうであった。 「....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
祭に参じた。桜、菖蒲、山の雉子の花踊。赤鬼、青鬼、白鬼の、面も三尺に余るのが、斧
鉞の曲舞する。浄め砂置いた広庭の壇場には、幣をひきゆい、注連かけわたし、来ります....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
。 それが済むと、空の籠を卓子の上に逆さにして置いた。彼の手には一|挺の大きな
鉞が握られた。彼はその
鉞をふり上げると、力一ぱい籠の底板に打ち下ろした。 パッ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
以てわれ等の通信の目的に副わせるように仕向ける。無論彼の懐ける独断的意見には、斧
鉞を加えねばならぬが、格別害にもならぬ意見は、そのままに棄て置き、自然に彼の心眼....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
れに答えて曰う。「父たるの権威を擁して、しこうしてすでに自覚に入れる児の思想に斧
鉞を置かんとす、これ実に至大至重の罪悪也。児たる我は、かくのごときの大罪を父に犯....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
れる音とで、そうしてそこから見えて来るものは、砂塵と日に光る斧や槌や、鉄の棒や、
鉞や刃物なのであった。 内乱が起こったと見るべきであろう。 この勢いで、時が....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
鎧い、武者|草鞋をしっかりと穿いている。そうして或者は熊手を持ち、そうして或者は
鉞を舁ぎ、そうして或者は槌をひっさげ、更に或者は槍を掻い込み、更に或者は斧をたず....
「弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
うかと思うと腰へばかり、草摺を纏った者があった。手に手に持っている獲物といえば、
鉞、斧、長柄、弓、熊手、槍、棒などであった。先へ立った数人が松明を持ち、中央にい....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
を遮る雑木を叩くと丈夫の生木さえその一撃で脆くも二つに千切れて飛んであたかも鋭い
鉞なんどで立ち割ったようになるのであった。尾を持っている類人猿! その有尾人猿に....
「荘子」より 著者:岡本かの子
にもならず棺材にもならず人間からの持てあましものの樹であり、それ故にまた人間の斧
鉞の疫から免れて自分の性を保ち天命を全うしているのだという見方をして、この樹を讃....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
き山稜に出ると、巉岩や偃松で織りなされた美景が正面にくる。南方数十歩には、天工の
鉞で削ったような、極めて堅緻の巨岩が、底知れずの深壑から、何百尺だかわからなく、....