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「鉢前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鉢前の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
わ》へ行った。縁側にはもういつもの通り、銅の耳盥《みみだらい》に湯を汲んだのが、鉢前《はちまえ》の前に置いてあった。 冬枯《ふゆがれ》の庭は寂しかった。庭の向....
あらくれ」より 著者:徳田秋声
《たすき》がけの素跣足《すはだし》で、手水鉢《ちょうずばち》の水を取かえながら、鉢前の小石を一つ一つ綺麗《きれい》に洗っていた。夏中縁先に張出されてあった葭簀《....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
安んじかねて行きつ、還《もど》りつ、塀ぎわに低徊《ていかい》せり。ややありて渠は鉢前《はちまえ》近く忍び寄りぬ。されどもあえて曲事《くせごと》を行なわんとはせざ....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
ばならない。不意の礫の戸に当る事|幾度ぞ。思いも寄らぬ蜜柑の皮、梨の核の、雨落、鉢前に飛ぶのは数々である。 牛乳屋が露地へ入れば驚き、酒屋の小僧が「今日は」を....
婦系図」より 著者:泉鏡花
な切味、一分だめしだ。転がすと、一が出ようというやつを親指でなめずりながら、酒は鉢前で、焚火で、煮燗だ。 さあ、飲めってえ、と、三人で遣りかけましたが、景気づ....
縮図」より 著者:徳田秋声
には、どこも鼻のつかえるようなせせっこましさで少し小綺麗な家はまた、前の植込みや鉢前燈籠のような附立てが、どことなく厭味に出来ているのが鼻についたものだが、たび....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
何と言う虫なんだね。」 「東京には居りませんの。」 「いや、雨上りの日当りには、鉢前などに出はするがね。こんなに居やしないようだ。よくも気をつけはしないけれど、....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
で、吃驚して天井を見上げると、あすこから、と言わしっけ。仁右衛門、それ、の、西の鉢前の十畳敷の隅ッこ。あの大掃除の検査の時さ、お巡査様が階子さして、天井裏へ瓦斯....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
鉄砲も、持って来い。……勢はさりながら、もの凄いくらい庭の雨戸を圧して、ばさばさ鉢前の南天まで押寄せた敵に対して、驚破や、蒐れと、木戸を開いて切って出づべき矢種....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
恐い。むかし、悪性の唐瘡を煩ったものが、厠から出て、嚔をした拍子に、鼻が飛んで、鉢前をちょろちょろと這った、二十三夜講の、前の話を思出す。――その鼻の飛んだ時、....
」より 著者:宮本百合子
あに?」 「文鳥が逃げちゃった。そこにいるのに」 成程! 籠の中は一羽だ。つい鉢前の、菊の芽生えの青々とした低いかげにもう一羽が出ている。外にいる方の文鳥は、....
別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
間も唯|呆然となって坐ったなり日を暮すことがあった。 何日であったか寝床を出て鉢前の処の雨戸を繰ると、あの真正面に北を受けた縁側に落葉交りの雨が顔をも出されな....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
の目金で、熟と――別に見るものはなし、人通もほとんどないのですから、すぐ分った、鉢前の大く茂った南天燭の花を――(実はさぞ目覚かろう)――悠然として見ていた。ほ....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
有りませんが、葉のこづんだ赤松が一本有りまする処まで参り、ホッと漸く息を吐いて、鉢前のゴロタ石を拾って左の松ヶ枝に合口を宛がい、片手には石を持ち、 若「口惜い伊....