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鉢物
「鉢物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鉢物の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二老人」より 著者:国木田独歩
あるばかり。南向きの縁先一間半ばかりの細長い庭には棚《たな》を造り、翁の楽しみの
鉢物《はちもの》が並べてある。手狭であるが全体がよく整理されて乱雑なさまは毛ほど....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
ならわいに任しとくなはれ」と手伝いの意を申《もう》し出《い》でたが、柳吉は、「小
鉢物はやりまっけど、天婦羅は出しまへん」と体裁よく断った。種吉は残念だった。お辰....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
大部分は書物と植木であった。彼は園芸が好きで、原宿五年の生活に、借家に住みながら
鉢物も地植のものも可なり有って居た。大部分は残して置いたが、其れでも原宿から高樹....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
だから、はてな、これは植木屋の荷じゃあなくッて、どこへか小屋がけをする飾につかう
鉢物で、この爺は見世物の種かしらん、といやな香を手でおさえて見ていると、爺がな、....
「怪しの者」より 著者:国枝史郎
った武士と、砕けた様子で話していました。長火鉢の横には塗り膳があって、それには小
鉢物がのせてあり、燗徳利などものせてあるという始末で。お柳がその男を旗さんと呼ん....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
って、 「いや、まったく……あれじゃ、だれだって迷います。罪な面だ」 広蓋へ小
鉢物と盃洗をのせて持ち出して来た小間使へ、用はないと手を振って、 「……だが、た....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
、懐に小さく畳んで持って来た、来歴のあるかの五ツ紋を取出して、卓子の上なる蘇鉄の
鉢物の蔭に載せた、電燈の光はその葉を透して、涼しげに麦酒の硝子杯に映るのである。....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
卯之吉が庭になりまさ。 もみじはここも名物だが、ちと遅い。紅は万両、南天の実。
鉢物、盆石、水盤などが、霞形に壇に並んだ、広い庭。縁には毛氈を敷いて煙草盆などが....
「利尻山とその植物」より 著者:牧野富太郎
のである、加藤子爵が今では大事の盆栽としておられる、エゾマツの数本寄せ植の小さな
鉢物は、この食事をした場所で岩の上に実生《みしょう》のかたまりがあったのを、木下....
「葛飾土産」より 著者:永井荷風
んびきや》の店頭には時節に従って花のある盆栽が並べられた。また年末には夜店に梅の
鉢物が並べられ、市中諸処の縁日にも必ず植木屋が出ていた。これを見て或人はわたしの....
「銀座」より 著者:永井荷風
》が、小《ちいさ》な菓子折でも並べたように見え、干してある赤い布《きれ》や並べた
鉢物の緑《みど》りが、光線の軟《やわらか》な薄曇の昼過ぎなどには、汚れた屋根と壁....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
の稍《やや》広い空地は、植木屋が一面に並べた薔薇《ばら》や百合《ゆり》夏菊などの
鉢物に時ならぬ花壇をつくっている。東清寺本堂|建立《こんりゅう》の資金寄附者の姓....