鉢金[語句情報] »
鉢金
「鉢金〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鉢金の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「薤露行」より 著者:夏目漱石
と、鍛え上げた鋼《はがね》の鎧《よろい》に満身の日光を浴びて、同じ兜《かぶと》の
鉢金《はちがね》よりは尺に余る白き毛を、飛び散れとのみ※々《さんさん》と靡かして....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
三|度《たび》、三度目にわが太刀は鍔元《つばもと》より三つに折れて巨人の戴く甲の
鉢金の、内側に歪《ゆが》むを見たり。巨人の椎《つい》を下すや四たび、四たび目に巨....
「道草」より 著者:夏目漱石
て真ん向うの突当《つきあた》りにある遠い戸口を眺めた。彼は仰向いて兜《かぶと》の
鉢金《はちがね》を伏せたような高い丸天井を眺めた。仮漆《ヴァーニッシ》で塗り上げ....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
勝戦のうしろの方で、矢玉の雨宿をしていた、ぬくいのらしい。御覧なさい。 亀姫 (
鉢金の輝く裏を返す)ほんに、討死をした兜ではありませんね。 夫人 だから、およし....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
向ぼこ みどり 滝見人に水魔狂ひおつ影見しか 静廼 熱の目に太りぼやけぬ
鉢金魚 和香女 人憎む我目けはしき秋鏡 ※女 等病的神経、憎み憤り、幻影....
「三国志」より 著者:吉川英治
せたばかりの丈余の蛇矛――牙形の大矛を先につけた長柄を舞わして、賊将程遠志の※の
鉢金から馬の背骨に至るまで斬り下げた。 「やあ、おのれよくも」 賊の副将|※茂....
「三国志」より 著者:吉川英治
びやかした。 「あっ」 孫策は、とっさに馬のたてがみへ顔を沈めたが、槍は、※の
鉢金をカチッとかすめた。 「おのれ!」 騎馬戦のむずかしさは、たえず手綱を上手....
「三国志」より 著者:吉川英治
と、馬のたてがみへ、身を伏せたので、矢は彼の甲の脳天にはね返った。 幸いにも、
鉢金は射抜けなかったが、じいんを通って、眼から火となって飛びだしたような気がした....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
べて、何か談笑しつつ此方へ来るのだった。いずれも、この日は鎧だが、とくに道誉の、
鉢金打った風折烏帽子に、彼らしい派手好みな陣装いは、ひと目で彼と、すぐ分る。 ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
「身軽がいいぞ。よけいな物は、一切|具足から取り捨てろ。かぶとも用いず、素頭に
鉢金だけを当て、草鞋の緒はきつく締めるな。絶壁を攀じ、乱岩の山上で働くには、緒が....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
うごきに、夕鴉も声がなかった。不気味なほど赤い雲の下を、素頭にただ鉢巻したのや、
鉢金と脛当だけで、胴も着けてない男や、草鞋なしの足に、ただ縄を巻いて、長巻一ツを....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
いらい、食も眠りも足りていない人々には、この日射に目がくらみそうだった。かぶとの
鉢金に蒸された頭には、視野の物さえかすんで見え、死もさまでには恐くなく、生きんと....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
る陣ノ腰から名島の方を望むたびに、その真っ向から吹きなぐッて来る北風が、かぶとの
鉢金やよろい金具に砂音をたて、皮膚の出ている部分は痛いほどだった。 「越前。彼方....
「大谷刑部」より 著者:吉川英治
もつかない音響に交じって、人馬の声と、金属的な響きとが、絶えず鼓膜を圧してくる。
鉢金に締めつけている頭脳が、時々、じいんと、痛んで鳴る。 「やっている……」 ....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
ころ柵の破壊されたあとや塹壕のあとが見られ、草むらに落ちている刀の折れやかぶとの
鉢金の錆を見ても、ここのあたりの戦いの長い年月と激戦が偲ばれてくる。 その後、....