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鉤
「鉤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鉤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
を噤《つぐ》んで、一しきりやめていた扇をまたも使い出しました。私の甥はその間中|
鉤《はり》にかかった鮠《はえ》も忘れるくらい、聞き耳を立てて居りましたが、この夢....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
人、それを遺恨に思って、暮方《くれがた》その職人の外へ出る所を待伏せて、いきなり
鉤《かぎ》を向うの肩へ打ちこんだと云うじゃありませんか。それも「主人の讐《かたき....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
またにやにや笑いながら、彼にはほとんど通じない一種の理窟を並べ出した。
「人間が
鉤《かぎ》を恐れている内に、魚は遠慮なく
鉤を呑んで、楽々と一思いに死んでしまう。....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
りK君の側に立っていたのです。
「時々|剣《けん》を出しますわね。」
「蜂の剣は
鉤《かぎ》のように曲っているものですね。」
僕は誰も黙っているものですから、M....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
、妙な建方、すぐに壁で、壁の窓からむこう土間の台所が見えながら、穴を抜けたように
鉤の手に一つ曲って、暗い処をふっと出ると、上框に縁がついた、吃驚するほど広々とし....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
けるらしいガチャンガチャンという音が聞えてきた。僕はなおも五分間を待った。監守が
鉤型に折れた向うの病棟へ廻るのを待つためだった。 いよいよ、時は熟した。 僕....
「地中魔」より 著者:海野十三
」 「これか」岩はチェッと舌打をした。「小僧に捲きつけられた鋼のロープだが、上の
鉤のところはやっと外して来たが、あとは足首から切り離そうとしても、固くてなかなか....
「春昼」より 著者:泉鏡花
聞漏板、 寒入罘※殿影昏、 彩鸞簾額著霜痕、 ええ、何んでも此処は、蛄が
鉤闌の下に月に鳴く、魏の文帝に寵せられた甄夫人が、後におとろえて幽閉されたと言う....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
魔法棒なのだ。それにしても、そんな棒を何に使うのかと見ていると、小男はその先端に
鉤のようなものをとりつけた。 おやおや、変なことをするわいと、なおも二人が一生....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
、貝に溜った雫ほどにいささかなものでござっての、お腰元衆など思うてもみられまい、
鉤の尖に虫を附けて雑魚一筋を釣るという仙人業をしまするよ。この度の娘の父は、さま....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
、上から落ちてくる岩をふせぐための弾力のある帽子をしっかりかぶり、手にはするどい
鉤のついた小さい手斧と、強い燭光の手提灯をもち、腰には長い綱をさげていた。そのほ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
に黄昏の軒をうろつく、嘉吉|奴を引捉え、確と親元へ預け置いたは、屋根から天蚕糸に
鉤をかけて、行燈を釣らせぬ分別。 かねて謀計を喋合せた、同じく晩方|遁げる、と....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
清風、人をして夏を忘れしむ。正午太陽を望むに、ほとんど天頂にあるがごとし。暮天一
鉤の新月を望むところ、大いに雅趣あり。終日片雲なきも、水蒸気の空中に満つるありて....
「釣」より 著者:アルテンベルクペーター
、大いなる、動かすべからざる真面目の態度を以て、屹然として立っている。そして魚を
鉤から脱して、地に投げる。 魚は死ぬる。 湖水は日の光を浴びて、きらきらと輝....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
ボンの家々の石やクロイツベルクやゴーデスベルクや養樹園やは君のためにはたくさんの
鉤を持っている――悦んで君が君の思いをそこへ引っ掛けることのできる
鉤を。 さて....