銀の匙[語句情報] » 銀の匙

「銀の匙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

銀の匙の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
一夕話」より 著者:芥川竜之介
は、そっくり君に持って貰《もら》うぜ。」 飯沼は大きい魚翅《イウツウ》の鉢へ、銀の匙《さじ》を突きこみながら、隣にいる和田をふり返った。 「莫迦《ばか》な。あ....
或る女」より 著者:有島武郎
うようにひどく青味がかって見えた。小さな不安が葉子の頭をつきぬけた。葉子は清潔な銀の匙《さじ》に少しばかりソップをしゃくい上げて貞世の口もとにあてがった。 「ま....
」より 著者:ゴーゴリニコライ
へ飛びのいた。 これはまったく合点のゆかないことだった。たとえばボタンだとか、銀の匙だとか、時計だとかが紛失したのならともかく――無くなるものにも事をかいて、....
食魔」より 著者:岡本かの子
匙の酢は鉢の蔬菜の上へ万遍なく撒き注がれた。 若い料理教師は、再び鉢の上へ銀の匙を横へ、今度はオレフ油を罎から注いだ。 「酢の一に対して、油は三の割合」 ....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
りませ、お湯を是へ」 是から蓋が附いて高台に載せてお湯が出ました。側に在ります銀の匙を執って水飴を掬おうとしたが、旨くいきません。 紋「これは思うようにいかん....
黒髪」より 著者:近松秋江
ところも見える。 女は、女中が先ほど持ってきた白い西洋皿に盛った真紅な苺の実を銀の匙でつつきながら、おとなしく口に持っていっている。 「今夜ぜひ逢う約束でもし....
足迹」より 著者:徳田秋声
あった。叔母は主人のいない時に、綺麗なその部屋部屋へ入れて見せた。食堂の棚から、銀の匙や、金の食塩壺、見事なコーヒ茶碗なども出して見せた。錠を卸してある寝室へ入....
道標」より 著者:宮本百合子
味がのみこめなかった。素子の横に腰かけたまま沈んだ眼色で、美しく光っている大小の銀の匙を見つめた。はきはき返事をしない伸子をゆすぶるように、 「ね、ぶこはどう思....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
のである。 その室のまん中の丸|卓子の上に唯一つ上を向いた赤絵の珈琲茶碗には、銀の匙と角砂糖が添えられて、細い糸のような湯気が仄かに立ち昇っている。そのこちら....
創生記」より 著者:太宰治
えともしてやった。わが肉体いちぶいちりん動かさず、すべて言葉で、おかゆ一口一口、銀の匙もて啜らせ、あつものに浮べる青い三つ葉すくって差しあげ、すべてこれ、わが寝....
知性の開眼」より 著者:宮本百合子
な色合いというものも、周囲としては略《ほぼ》想像することが出来る。西洋に、あれは銀の匙を口に入れて生れて来た人というような表現のあるのもそこのところに触れている....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
ょう。』 これが私の妻を噴き出させた。彼女はH・Pとロココ風に略字のつながった銀の匙で私の手の甲の静脈を叩きながら、古代ヘブライ語で私をたしなめたのである。 ....
化生のもの」より 著者:豊島与志雄
たちょっぴりさして、匙で一掬いずつ味をみていた。子供が戯れに味わってるみたいで、銀の匙と小さな爪とが光りに映えていた。 「哲夫君のことなら、御心配いりませんよ。....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
人的のぎこちない真面目な顔付きでガルスワーシーを覗き込むようにしながら氏の近作「銀の匙」と「白鳥の歌」に就いて発言しようと口を切った時、玄関へ一団の訪問客の押し....