銀時計[語句情報] »
銀時計
「銀時計〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
銀時計の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
* * *
札幌に来る時、母が餞別《せんべつ》にくれた小形の
銀時計を出してみると四時半近くになっていた。その時計はよく狂うので、あまりあてに....
「二老人」より 著者:国木田独歩
だそわそわしている。 「何時でしょうか」と河田翁は卒然聞いた。石井翁は帯の間から
銀時計の大きいのを出して見て、 「三時半です」 「イヤそれじゃもう行かなきゃなら....
「M侯爵と写真師」より 著者:菊池寛
の和服姿は珍しいものに違いありませんでした。おしまいには、 「Tさんが、今度俺に
銀時計をくれるといったよ」 などといっていました。
銀時計だけは保証の限りであり....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
に訴えた。親分とおかみは巳代吉を邪魔にし出した。ある時巳代公は親分の財布を盗んで
銀時計を買った。母を窃む者の財布を盗むは何でもないと思ったのであろう。親分は是れ....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
気ザで僕はキライだから、ドイツでなくてはない様な、ガッシりとした、珍らしい小形の
銀時計と、もう一つ鉄の黒い一寸面白い時計を買ったよ。黒の時計で、文字は金色でかい....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
でいる都会だから。 泣き顔に塗った白粉。死んだ伯父が愛用した古いふるい動かない
銀時計。そんな言葉がよく当てはまるほど、私はハルビンを地球上にユニイクな市街だと....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
て、主人のそばへ行って、ひつじの毛皮服のふところを開け、そのかくしを探って大きな
銀時計を取り出した。かれはしばらく時計をながめて、それから二声しっかり高く、ワン....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
まってわたしをおさえていた。やがていきなりかれはチョッキのかくしを探って、大きな
銀時計を引き出した。 「さあ、おまえ、これをあげる」とかれは言った。「これをわた....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
これこそ表彰して他の店員の模範とすべきだと考え、賞与として長く記念に残るようにと
銀時計を買って与えた。むろん店はじまって最初のことであった。純情な長束少年はこれ....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
敗を話すことになるが、私がまだ本郷にいた時分、眼に見えてよく働く店員がいたので、
銀時計をやって表彰した。すると同期の店員から思いがけなく、自分達も一生懸命働いて....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
・ボリースィチは寝床の上に両膝をつきながら、枕もとの壁に南京玉の紐のついた自分の
銀時計を掛けているところだった。 「こりゃ一体どうしたわけだね、ええカテリーナ・....
「少年の食物」より 著者:木村荘八
。一度も出ないのでがっかりしました。それに答案に予め賞品の希望を記せとあるので、
銀時計と書きました。ああ、烏兎早々、北沢さんに心から御挨拶しましょう。 その第....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
平等な祝意が家族一同より感じられるのであります。もしこれを平等にして家族いずれも
銀時計としたならば主人夫妻はよほど妙な感じが致しましょう。 (三)正中来 次は平....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
楽の一週間分の花代として二十七円あまりも巻上げられ、それでも足らぬので下げていた
銀時計まで持っていかれた。分別のない青年のうぬぼれ心には、当然のお返しだったので....
「歌う白骨」より 著者:妹尾アキ夫
が。」 「それは窃盗じゃないよ。」私はポケットから時計をとりだし、「これは立派な
銀時計だ。十二時十三分でとまっている。」 「十二時十三分、」と、ソーンダイクは時....