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「銀燭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

銀燭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
城越前の福井へ下った。 二 越前北の庄の城の大広間に、いま銀燭は眩《まばゆ》いばかりに数限りもなく燃えさかっている。その白蝋が解けて流れて....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
と、そもいったいどうしたというのでありましたろう! 第一に目を射たものは、そこの銀燭《ぎんしょく》きらめく大広間の左右に、ずらりと居並んでいる、無慮五十人ほどに....
草枕」より 著者:夏目漱石
い》の府《ふ》に吸い込まんとするとき、余はこう感じた。金屏《きんびょう》を背に、銀燭《ぎんしょく》を前に、春の宵の一刻を千金と、さざめき暮らしてこそしかるべきこ....
野分」より 著者:夏目漱石
である。友禅《ゆうぜん》の模様はわかる、金屏《きんびょう》の冴《さ》えも解せる、銀燭《ぎんしょく》の耀《かがや》きもまばゆく思う。生きた女の美しさはなおさらに眼....
竹青」より 著者:太宰治
い楼舎にはいった。 竹青に手をひかれて奥の部屋へ行くと、その部屋は暗く、卓上の銀燭は青烟を吐き、垂幕の金糸銀糸は鈍く光って、寝台には赤い小さな机が置かれ、その....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
信玄は自分も朱塗りの大盃で葡萄の酒をあおるのである。 ここは館の広間であった。銀燭が華やかに瞬いている。一段高い床間には楯無しの鎧が飾ってある。――月数。日数....
賈后と小吏」より 著者:田中貢太郎
した仙妃の顔は青年の心を軽くした。 窓の真珠の簾を照らしていた陽の光が薄れて、銀燭が青い焔を吐きだしたところで、青年と仙妃の前には肴饌が並んだ。それは奢靡のか....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
立に係る―― 晨に金光を鏤めし満目の雪、夕には濁水と化して河海に落滅す。今宵銀燭を列ねし栄耀の花、暁には塵芥となつて泥土に委す。三界は波上の紋、一生は空裡の....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
であろう。 秋のおさらいは昼よりも灯する頃より夜と共に興|闌なるがつねだ。彼の銀燭に蝋燭の火ざし華やかに、番組も序の口を終ったほどから、聴衆も居ずまいを直して....
異質触媒作用」より 著者:寺田寅彦
野特有の雑木林の聚落がその可能な最も美しい色彩で描き出されていた。到る処に穂芒が銀燭のごとく灯ってこの天然の画廊を点綴していた。 東京へ近よるに従って東京の匂....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
ろう、杜鵑の声が聞こえてきた。 小四郎は秀次の寵臣である。邸なども豪奢である。銀燭などが立ててある。 その銀燭を左手へ置いて、上座の円座に坐っているのは、邸....
赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
った。 尚ひとしきり赤格子の噂で酒宴の席は賑わった。その中日が暮れ夜となった。銀燭が華やかに座敷に点り肴が新しく並べられ一座はますます興に入り夜の更けるのを知....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
のでッしょう。そうしたら、いっそ楽しかるべきを」 ホロホロと、膝へ涙を落した。銀燭台の蝋燭の灯 翌日の九月の十二日は諸聖祭《トドロス・サントス》の日で、蘭人....
書記官」より 著者:川上眉山
て誰一人ここを訪わんとせざるも、女心には恨みの一つなり。 夕暮となり宵となり、銀燭は輝き渡りて客はようやく散じたる跡に、残るは辰弥と善平なりき。別室に肴を新た....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
万太夫座の弥生狂言の顔つなぎの宴が開かれていた。 広間の中央、床柱を背にして、銀燭の光を真向に浴びながら、どんすの鏡蒲団の上に、悠ったりと坐り、心持|脇息に身....