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「銀砂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

銀砂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
五月の朝の花」より 著者:岡本かの子
花。 だが咲くだけ咲いてしまえば実に思い切りよく大ふうにさらさらと風にまかせて銀砂の様に私達の歩道に、その純白の粉花を一ぱいに敷きつめてくれる。 もう少し行....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
で甲板に出てみても、いつも周囲は真暗な洋上で、灯台の灯も見えなかった。或る晩は、銀砂を撒いたように星が出ていたし、また或る夜はボッボツと、冷い雨が頬の辺を打った....
若き日の成吉思汗」より 著者:林不忘
起しまして、一挙に城を陥れんとするもののごとく、挺身隊はすでに三本松の辻を過ぎ、銀砂の河原に現れました。 札木合《ジャムカ》 (蒼白になって)なに、もう銀砂の河....
詩と官能」より 著者:寺田寅彦
ろいろの飾りものに映ってきらめいている。紫紺色に寒々とさえた空には星がいっぱいに銀砂子のように散らばっている。町の音楽隊がセレナーデを奏して通るのを高い窓からグ....
極楽」より 著者:菊池寛
えなかった。が、漸く眼を定めて見渡すと自分の立って居る足下には、燦爛と輝く金砂と銀砂が、鴨川石か何かのように惜しげもなく撒き散らされて居るのを見た。頭上を見上げ....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
引いたのは無かったと思う。 続き、上下におよそ三四十枚、極彩色の絵看板、雲には銀砂子、襖に黄金箔、引手に朱の総を提げるまで手を籠めた……芝居がかりの五十三次。....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
の前に、菩薩が求児擁護の結縁に、紅白の腹帯を据えた三方に、置忘れた紫の女|扇子の銀砂子の端に、「せい」としたのを見て、ぞっとした時さえ、ただ遥にその人の面影をし....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
少し丈が長過ぎる。黒髪が人並よりぐっと黒いので、まれに交っているわずかな白髪が、銀砂子のように奇麗に光る。中背の撫で肩の上にラファエルのマリア像のような線の首筋....
丹下左膳」より 著者:林不忘
た。何が何やら、さっぱりわからぬ、うわははははは」 そのとき……。 ツーイと銀砂子《ぎんすなご》の空を流れる、一つ星。 「あ、星が流れる――ウウム、さては、....
追憶の冬夜」より 著者:寺田寅彦
絞首台の建物の屋根が少し見えて、その上には巨杉に蔽われた城山の真暗なシルエットが銀砂を散らした星空に高く聳えていたのである。 (昭和九年十二月『短歌研究』)....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
夜《はれ》とともに一入《ひとしお》の寒気、降るようにとまでは往かなくとも、星屑が銀砂子を撒き散らしたよう、蒼白い光が漂ってはいるが地上へは届かないから、中天に霞....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
に列を作って夜を海上で遊びます。あれごらん遊ばせ、二三羽|羽搏きをしたので水煙が銀砂のようにパット空に昇りました。 女子 いえいえ悪い兆です。どうやら死んだ屍を....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
、胡桃、桃、檜その他日本に見られない樹の種類の大木がある。それからその下に美しい銀砂が厚く敷いてある。そうしてそこで一問答が終りますと 今度は法林道場というや....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
たとか思わせ振りなことを言うと、彼女は察して、お茶でものもう、と言った。近くの「銀砂」という小っぽけな珈琲店にはいった。ボックスでは、一人のまるで女の様な綺麗な....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
め鱒かと思った。夜中に眼が覚めて外を覗くと、鬱陶しかった谷の空はいつの間にか星が銀砂子を撒いていた。 二日。晴れ渡った空には一片の雲もない。今迄|緊め付られて....