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銀鼠
「銀鼠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
銀鼠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
る汽車は保吉には縁のない上り列車である。
お嬢さんは十六か十七であろう。いつも
銀鼠《ぎんねずみ》の洋服に
銀鼠の帽子をかぶっている。背《せ》はむしろ低い方かも知....
「女の決闘」より 著者:太宰治
《しらかば》の白けた森が、次第にゆるゆると近づいて来る。手入をせられた事の無い、
銀鼠色《ぎんねずいろ》の小さい木の幹が、勝手に曲りくねって、髪の乱れた頭のような....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
として表わせば灰色ほど適切なものはほかにない。それ故に灰色は江戸時代から深川鼠、
銀鼠《ぎんねず》、藍鼠《あいねず》、漆鼠《うるしねず》、紅掛鼠《べにかけねず》な....
「世相」より 著者:織田作之助
の赤い灯が映っている硝子扉を押した途端、白地に黒いカルタの模様のついた薩摩上布に
銀鼠色の無地の帯を緊め、濡れたような髪の毛を肩まで垂らして、酒にほてった胸をひろ....
「幽霊の自筆」より 著者:田中貢太郎
暗いたらたらとした海の上には風波の波頭が船の左右にあたって、海蛇のように幾条かの
銀鼠の光を走らした。 艫の舵柄の傍では、年老った船頭が一杯機嫌で胡座《あぐら》....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
、眼に見えて、緊張の度を高めていった。 浜松の飛行聯隊が、折柄のどんより曇った
銀鼠色の太平洋上に飛び出していった頃から、第三師団司令部からの報告は、直接に高声....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
出た。それが春陽に蒼光った。 ※鼠は餌物を貪り食った。ピンと上げた太い尻尾が、
銀鼠色に輝いた。骨を噛み砕く音がした。 月子は面を彫んでいた。 甚太郎は帰っ....
「縮図」より 著者:徳田秋声
の袖垣の臘梅の黄色い絹糸をくくったような花も、いつとはなし腐ってしまい、椎の木に
銀鼠色の嫩葉が、一面に簇生して来た。人気のない時は、藪鶯が木の間を飛んでいたりし....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
た。 ある日の午後、葉子は庸三の同意の下に、秋本の宿を訪問すべく、少し濃いめの
銀鼠地にお納戸色の矢筈の繋がっている、そのころ新調のお召を着て出て行った。多少結....
「ダス・ゲマイネ」より 著者:太宰治
め見た印象で言えば、シルレルの外套である。天鵞絨と紐釦がむやみに多く、色は見事な
銀鼠であって、話にならんほどにだぶだぶしていた。そのつぎには顔である。これをもひ....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
内も、人影一つ見えなかった。家々の戸は閉ざされていた。屋根が水でも浴びたように、
銀鼠色に光っていた。巨大な公孫樹が立っていた。その根もとに茶店があった。すなわち....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
、春の夜が深く垂れ下っていた。ニサン十三夜の朧月は、棕樹、橄欖、無花果の木々を、
銀鼠色に燻らせていた。 肉柱の香、沈丁の香、空気は匂いに充たされていた。 十....
「岩魚」より 著者:佐藤垢石
の重い梢を揺すっていたが、後閑駅から西方八里奥にある法師温泉をめぐる山々や谷々は
銀鼠色のやわらかい嫩葉が、ほんの少しばかり芽皮を破った雑木林に蔽われていた。 ....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
二十重に霞の奥の果てまで連なっている。近きは紫紺に、遠きは浅葱色に、さらに奥山は
銀鼠色に。 甲武信か国師か雁坂か、武甲山か三峰か、いずれがどれとも名は分からな....
「女の決闘」より 著者:オイレンベルクヘルベルト
えていた白樺の白けた森が、次第にゆるゆると近づいて来る。手入をせられた事のない、
銀鼠色の小さい木の幹が、勝手に曲りくねって、髪の乱れた頭のような枝葉を戴いて、一....