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「銅壺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

銅壺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
らせたのはもう一人の、松《まつ》と云う年上の女中だった。松は濡れ手を下げたなり、銅壺《どうこ》の見える台所の口に、襷《たすき》がけの姿を現していた。 「どこだい....
夫婦善哉」より 著者:織田作之助
《かん》をするばかりが能やないと言い出し、混ぜない方の酒をたっぷり銚子に入れて、銅壺《どうこ》の中へ浸《つ》けた。明らかに商売に飽《あ》いた風で、酔うと気が大き....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ように、緋錦紗《ひきんしゃ》の厚い座ぶとんへ右門をすわらせると、女は銅《あか》の銅壺《どうこ》のふたをとってみて、ちょっと中をのぞきました。そのしぐさだけでもう....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
音をあげるねえ。まだちっとぬるいようじゃねえか」 ひょいとみると、銅《あか》の銅壺《どうこ》に好物がにょっきりと一本かま首をもたげていたものでしたから、ことご....
旧主人」より 著者:島崎藤村
うな気になって、思乱れながら眺めました。二つ竈《べっつい》は黒々と光って、角に大銅壺《おおどうこ》。火吹竹はその前に横。十能《じゅうの》はその側に縦。火消|壺《....
婦系図」より 著者:泉鏡花
と、するすると裾を捌いて、慌しげに来たのは綱次。 唯今の注進に、ソレと急いで、銅壺の燗を引抜いて、長火鉢の前を衝と立ち状に来た。 前垂掛けとはがらりと変って....
わが町」より 著者:織田作之助
の燗をするばかりが能やないと言いだし、水を混ぜない方の酒をたっぷり銚子に入れて、銅壺の中へ浸け、チビチビと飲んだ。 明らかに商売に飽いた風で、酔うと気が大きく....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
大笑いだ。かゆの半杯も喉には通るまい。料理などは、むだな事だ、と有合せの卵二つを銅壺に投げ入れ、一ばん手数のかからぬ料理、うで卵にして塩を添え、酒と一緒に差出せ....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
馬鹿な。」 と唇を横舐めずって、熊沢がぬっと突出した猪口に、酌をしようとして、銅壺から抜きかけた銚子の手を留め、お千さんが、 「どうしたの。」 「おほほ、や、....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
稼業をした。 まず引掛の昼夜帯が一つ鳴って〆った姿。わざと短い煙管で、真新しい銅壺に並んで、立膝で吹かしながら、雪の素顔で、廓をちらつく影法師を見て思出したか....
梅若七兵衞」より 著者:三遊亭円朝
以前は名人が多かったものでございます。觀世善九郎という人が鼓を打ちますと、台所の銅壺の蓋がかたりと持上り、或は屋根の瓦がばら/\/\と落ちたという、それが為|瓦....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
はないか」 といわれるので、私は師匠と一緒に夕方外へ出ました。観音様の中店の「燗銅壺」といった料理店で夜食をしながら、師匠は少し言葉を改め、 「幸吉、実は、今度....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
時、簪を鬢に挿すのであった。 多津吉は向直って、 「それから。」 「まあ、その銅壺に、ちゃんとお銚子がついているんじゃありませんか。踊のお師匠さんだったといい....
三の酉」より 著者:久保田万太郎
なに驚いたことか…… ――さ、何んにもないけれど…… と、白雨さんは、自分で銅壺からチロリをだして、“まァ、一つ……”とついでくれ ――このおでんだけは、....
春泥」より 著者:久保田万太郎
「どうだ、そうだろう?」 「さァ来た、熱いのが……」田代はそれにこたえず、小女の銅壺から出して来た銚子をうけとると小倉のまえの猪口と自分のまえの猪口とについだ。....