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銜え
「銜え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
銜えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
文通り、驚嘆する訣《わけ》には行かなかった。けれども浮かない顔をしたまま、葉巻を
銜えているのも気の毒だった。
「ふん、土匪も洒落《しゃ》れたもんだね。」
「何、....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
反って、泣寐入りに寐入ったらしい嬰児が懐に、膝に縋って六歳ばかりの男の子が、指を
銜えながら往来をきょろきょろと視める背後に、母親のその背に凭れかかって、四歳ぐら....
「春昼」より 著者:泉鏡花
爺婆の方が横着で、嫁をいじめる口叱言を、お念仏で句読を切ったり、膚脱で鰻の串を横
銜えで題目を唱えたり、……昔からもそういうのもなかったんじゃないが、まだまだ胡散....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
、はっはっはっはっ。睦じいな、若いもの。(石を切って、ほくちをのぞませ、煙管を横
銜えに煙草を、すぱすぱ)気苦労の挙句は休め、安らかに一|寝入さっせえ。そのうちに....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
、黒鮫が三百ばかり。 侍女二 取巻いて、群りかかって。 侍女三 あれ、入道が口に
銜えた。 公子 外道、外道、その女を返せ、外道。(叱※しつつ、窓より出でんとす。....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
おうが、人間の手に持ったままを引手繰る段は、お互に得手でない。首尾よく、かちりと
銜えてな、スポンと中庭を抜けたは可かったが、虹の目玉と云う件の代ものはどうだ、歯....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
まで石になってしまいたいと思うほど、お客様、私は、あの、」 と乱れた襦袢の袖を
銜えた、水紅色映る瞼のあたり、ほんのりと薄くして、 「心でばかり長い事、思ってお....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
うておいて、弓でも矢でも貫こう心はなく、先方の兄者に、ただ断り言われただけで指を
銜えて退ったいの、その上にの。 我勝手や。娘がこがれ死をしたと聞けば、おのれが....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
」 煙草の煙を、すぱすぱと吹く。溝石の上に腰を落して、打坐りそうに蹲みながら、
銜えた煙管の吸口が、カチカチと歯に当って、歪みなりの帽子がふらふらとなる。…… ....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
たのに、婆さんの居る腰掛を小楯に踞んで、梨の皮を剥いていたのが、ぺろりと、白い横
銜えに声を掛ける。 真顔に、熟と肩を細く、膝頭に手を置いて、 「滅相もない事を....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
「あ、」 と云う声して、手を放すと、蛇の目輝く緑の玉は、光を消して、亀の口に
銜えたまま、するするする、と水脚を引いてそのまま底に沈んだのである。 奴はじり....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
う、そう来るだろうと思ったんだ。が、こうなれば刺違えても今更糸|的に譲って、指を
銜えて、引込みはしない。」 と、わざとらしいまで、膝の上で拳を握ると、糸七は気....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
その時何と思ったか、犬は音のしないように娘の側へ這い寄ったと思うと、着物の裾を
銜えて引っ張って裂いてしまって、直ぐに声も出さずに、苺の木の茂って居る中へ引っ込....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
賞君、おい一杯飲もう。一所に来たまえ。」 その時だ。 「ぴい、ぷう。」 笛を
銜えて、唇を空ざまに吹上げた。 「分ったよ、一等賞だよ。」 「ぴい、ぷう。」 「....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
きな怪物の土地の神が海の方へ向って、天地に開いた口の、奥歯へ苗代田麦畠などを、引
銜えた形に見えます。谷戸の方は、こう見た処、何んの影もなく、春の日が行渡って、些....