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鋳物
「鋳物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鋳物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「竜」より 著者:芥川竜之介
に、その大団扇で煽《あお》いでくれい。それで少しは涼しくもなろうと申すものじゃ。
鋳物師《いもじ》も陶器造《すえものつくり》も遠慮は入らぬ。二人ともずっとこの机の....
「蠅男」より 著者:海野十三
升|桝ぐらいの四角な穴が明いている空気抜きを見上げた。そこには天井の方から、重い
鋳物の格子蓋が嵌めてあった。「さあ、まさかあれから大の男が入ってこられへんと思う....
「わが町」より 著者:織田作之助
て友達を仲人に仕立てて、寄越した。 ところが、その友達というのが、その男と同じ
鋳物の職工で、礼儀作法なぞ何ひとつ知らぬ、いわば柄の良くない男であった。 「うち....
「前哨」より 著者:黒島伝治
てきた枯木と高粱稈を燃して焚き火をした。こんなとき、いつも雑談の中心となるのは、
鋳物工で、鉄瓶造りをやっていた、鼻のひくい、剛胆な大西だった。大西は、郷里のおふ....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
吊したグレーンが、皆の働いている頭のすぐ上を物凄い音を立てゝ渡って行った。それは
鋳物場で型上げしたばかりの、機関車の車輌の三倍もある大きな奴で、ワイヤー受けの溝....
「鵞鳥」より 著者:幸田露伴
です、鵞鳥だからむずかしいので。蟾蜍と改題してはどんなものでしょう。昔から蟾蜍の
鋳物は古い水滴などにもある。醜いものだが、雅はあるものだ。あれなら熔金の断れるお....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
の植木屋の娘がある、美人じゃ。貴様知ってるだろう、あれがな、次助というて、近所の
鋳物師の忰と出来た。先月の末、闇の晩でな、例のごとく密行したが、かねて目印の付い....
「薬」より 著者:井上紅梅
る。二人は枯草の中に立って仰向いて鴉を見ると、鴉は切立ての樹の枝に頭を縮めて鉄の
鋳物のように立っている。 だいぶ時間がたった。お墓参りの人がだんだん増して来た....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
とかくしている中、また一つ私の生活に変化が来ました。 それは牛込神楽坂の手前に軽子坂という坂があるが、その坂上に
鋳物師で大島高次郎という人があって、明治十四年の博覧会に出品する作品に着手してい....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
歌、写生文の三つであった事は前回に陳べた通りであったが、その他居士は香取秀真君の
鋳物を見てから盛にその方面の研究を試み始めたり、伊藤左千夫君が茶の湯を愛好すると....
「謎の咬傷」より 著者:小酒井不木
歯と犬歯合せて十二本を取り出し、それを上下の顎の大きさの金具に排列し、更にそれを
鋳物のときにつかう釘抜のような鉗子の先へ固定し、大原の咽喉笛をはさみ切って殺そう....
「炭焼長者譚」より 著者:喜田貞吉
のであったに相違ない。そしてその守り神を金屋子さんと呼んでいるのであろう。後世は
鋳物師の事を多く金屋と呼んでいる。そしてその金屋子さんの氏子の漂泊的山子が、常民....
「間人考」より 著者:喜田貞吉
いう義に用いられたのである。同じ著聞集に天王寺より京に上った中間法師が、山伏及び
鋳物師と、遊女の家に泊り合した滑稽談があるが、この中間法師は実に当時の所謂下司法....
「あほう鳥の鳴く日」より 著者:小川未明
の仕事場の台の前に、一|羽の翼の長い鳥がじっとして立っています。ちょうど、それは
鋳物で造られた鳥か、また、剥製のように見られたのでありました。 男は、夜おそく....
「春になる前夜」より 著者:小川未明
れど、すずめは、ついに明くる日の朝まで身動きもできず、目を開けることもかなわず、
鋳物のように木の枝に止まっていました。 太陽が照らしたときに、すずめは、はじめ....