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鋳鉄
「鋳鉄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鋳鉄の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
縁遠い言葉としてかえっていつまでも耳底に残った。
三等車の中央部にあるまん丸な
鋳鉄製のストーブは真赤に熱して、そのまわりには遠くから来た旅客がいぎたなく寝そべ....
「趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
ると駄目だ。大いなる山、大いなる空、千里を馳《か》け抜ける野分、八方を包む煙り、
鋳鉄《しゅてつ》の咽喉《のんど》から吼《ほ》えて飛ぶ丸《たま》――これらの前には....
「ロンドン一九二九年」より 著者:宮本百合子
は東端《イーストエンド》でイギリス痛風だ。震えた字だ。 屋根にトタン板を並べた
鋳鉄工作所から黒い汚水と馬糞が一緒くたに流れ出して歩道の凹みにたまっている。 ....
「三月八日は女の日だ」より 著者:宮本百合子
属的に反響している。 ――このようにして、タワーリシチ! 五ヵ年計画はソヴェト
鋳鉄生産額を世界第三位に、石炭採掘量において世界第四位に進めるばかりではありませ....
「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」より 著者:宮本百合子
だけこびりついて青ざめている学者ではない。彼は十月革命の当時、レーニングラードの
鋳鉄工場にバリケードを築き銃を執ってプロレタリア解放のために闘い、後赤軍にいたこ....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
《てんすいおけ》があって――桶といっても上に乗っている手桶だけ木で、下の天水桶は
鋳鉄《いもの》が多かった。かなりいい金魚が飼ってあるので、金網を張ってあるのもあ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
岩本の娘さんの一人が戸畑へお嫁に行っていたのではなかったでしょうか。あすこは
鋳鉄で日本一なのですってね。どうしているでしょうね、小さい町は五機ぐらいで十分な....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
ャに教えられた。グリゴリイは彼を町の墓地へつれて行って、そこのずっと奥の隅にある
鋳鉄製の、あまり金はかかっていないが、小ぢんまりした墓じるしを指さした。その上に....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
街鉄道工事のために数か月来掘り開かれていた溝《みぞ》が利用された。樹木のまわりの
鋳鉄|柵《さく》は寸断されて弾丸にされた。武器が人々のポケットや人家の奥から取り....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ヤン銃のこともあった。防寨の人々は多く、一端を麻屑《あさくず》と粘土とでふさいだ
鋳鉄のガス管二本で、二つの小さな銃身をこしらえていた。ほとんど火薬をむだに費やす....
「海豹島」より 著者:久生十蘭
雑に投げだしてあるばかりで、そこにも人の姿はなかった。 部屋の中央に据えられた
鋳鉄製の大煖炉の傍まで戻って、そこの床几に腰をかけたが、煖炉はすっかり冷え切って....
「地上」より 著者:島田清次郎
その丘は何んでも平一郎の父の友人のある商人が、日露戦争後の起業熱のはげしい折に、
鋳鉄業を創めた失敗のあとであった。生い茂った雑草の間には石ころや柱のくさったのや....
「春心」より 著者:田中貢太郎
建ち並んで、それから拝殿の庇の下に喰つくようになって天水桶があった。その天水桶は
鋳鉄であった。その右側の天水桶の縁に烏のような水だらけになった一羽の鳥がとまって....