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鋼
「鋼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鋼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
は未だに来ない。
尾生はとうとう立ちすくんだ。
川の水はもう沓を濡しながら、
鋼鉄よりも冷やかな光を湛《たた》えて、漫々と橋の下に広がっている。すると、膝《ひ....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
微妙に静かだった。彼はこう言う往来をはるばる本郷へ帰る途中、絶えず彼の懐ろの中に
鋼鉄色の表紙をした「ツアラトストラ」を感じていた。しかし又同時に口の中には何度も....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
がら、静に箱の中の物を抜いた。その拍子に剃刀の※《におい》が、磨《と》ぎ澄ました
鋼《はがね》の※が、かすかに彼女の鼻を打った。
いつか彼女の心の中には、狂暴な....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
でもなければ、その下にある頭でもない。それを下から刎《は》ね上げた、向うの軍刀の
鋼《はがね》である。その音が煮えくり返るような周囲の騒ぎの中に、恐しくかんと冴《....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
だぞよ。」
下人は、老婆をつき放すと、いきなり、太刀の鞘《さや》を払って、白い
鋼《はがね》の色をその眼の前へつきつけた。けれども、老婆は黙っている。両手をわな....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
黒い夕立雲が、一面にむらむらと滲み渡って、その所々を洩れる空の光も、まるで磨いた
鋼鉄のような、気味の悪い冷たさを帯びているのです。新蔵は泰さんと一しょに歩きなが....
「或る女」より 著者:有島武郎
るほど遠のいて見え、遠いと思って見れば、今にも頭を包みそうに近く逼《せま》ってる
鋼色《はがねいろ》の沈黙した大空が、際限もない羽をたれたように、同じ暗色の海原に....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
血を吸って丸くなったまま、馬の腹からぽとりと地に落ちた。仰向《あおむ》けになって
鋼線《はりがね》のような脚を伸したり縮めたりして藻掻《もが》く様《さま》は命の薄....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
る。君の住む岩内の港の水は、まだ流れこむ雪解の水に薄濁るほどにもなってはいまい。
鋼鉄を水で溶かしたような海面が、ややもすると角立った波をあげて、岸を目がけて終日....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
思い出し、××の将校や下士卒は勿論、××そのものこそ言葉通りにエジプト人の格言を
鋼鉄に組み上げていると思ったりした。従って楽手の死骸の前には何かあらゆる戦いを終....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
は驚くべき数量に達するのであります。詳しい数は記憶しておりませんが、大体の見当は
鋼や油は年額数億トン、石炭に至っては数十億トンを必要とすることとなり、とても今の....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
らしいのは影も見えねえ。 ははあ、来る道で、向の小山の土手腹に伝わった、電信の
鋼線の下あたりを、木の葉の中に現れて、茶色の洋服で棒のようなものを持って、毛虫が....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
、おっかあ、今日は父親の命日よ。」 と、葭簀を出る、と入違いに境界の柵の弛んだ
鋼線を跨ぐ時、莨を勢よく、ポンと投げて、裏つきの破足袋、ずしッと草を踏んだ。 ....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
? 面白いな……来たぞ来たぞ。一陣の白鉢巻、白兜、革命党は皆ダンビラをひっさげて
鋼鉄の鞭、爆弾、大砲、菱形に尖った両刃の劒、鎖鎌。土穀祠の前を通り過ぎて『阿Q、....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ある。またパリが同盟軍に占領された由も書き加えてある。 ローマでは、モリシニが
鋼鉄の針に太陽の光をあてて磁石にするという、あやしい実験をも附した。 五月半ば....