鋼線[語句情報] » 鋼線

「鋼線〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鋼線の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
血を吸って丸くなったまま、馬の腹からぽとりと地に落ちた。仰向《あおむ》けになって鋼線《はりがね》のような脚を伸したり縮めたりして藻掻《もが》く様《さま》は命の薄....
日本山岳景の特色」より 著者:小島烏水
海岸の水平線近く、虚空を縫って引き落している、秋から冬にかけた乾空には、硬く強く鋼線のように、からからと鳴るかと思われ、春から夏にかけて、水蒸気の多い時分には、....
雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
太郎坊へ着いて見ると、戸は厳重に釘づけにされ、その上に材木を筋交えに抑えにして、鋼線で結びつけてあるが、寂《ひ》ッそりとして、人の気はなく、案内者の咳払いが、沈....
夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
だった。その橋梁の下には、重い物体をひっかける化物のようにでっかい鈎が、太い撚り鋼線で吊ってあり、また橋梁の一隅には、鉄板で囲った小屋が載っていて、その中には、....
夢鬼」より 著者:蘭郁二郎
、一遍に噴出し、心臓は、周章て血管の中を、方々へ衝突しながら、駈廻った。 この鋼線のように、張切った気持、生と死との僅かな隙間を、息を殺して飛抜ける自分に、葉....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
らしいのは影も見えねえ。 ははあ、来る道で、向の小山の土手腹に伝わった、電信の鋼線の下あたりを、木の葉の中に現れて、茶色の洋服で棒のようなものを持って、毛虫が....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
、おっかあ、今日は父親の命日よ。」 と、葭簀を出る、と入違いに境界の柵の弛んだ鋼線を跨ぐ時、莨を勢よく、ポンと投げて、裏つきの破足袋、ずしッと草を踏んだ。 ....
鼻に基く殺人」より 著者:小酒井不木
じの世界がぼかし出されて居た。あらい蝙蝠傘の骨を張り拡げたような吊子に、ピアノの鋼線に似た繊条が、細い銀蛇のくねりのように、厳めしい硝子棒と二本の銅柱に押しあげ....
大会を終りて」より 著者:中井正一
それが、リアルな現実の状態に即し副っていることが人々のこころを、一筋のゆるがざる鋼線でもって貫くことのできる唯一この媒介となることを、私たちははじめて学んだので....