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錆
「錆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
錆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
同時に、思わず膝の上へ目を伏せてしまった。
校長は静かに読みはじめた。声はやや
錆《さ》びを帯びた底にほとんど筆舌を超越《ちょうえつ》した哀切の情をこもらせてい....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
ぜん》とした、罪を謝する言葉である。
「あたら御役《おやく》に立つ侍を一人、刀の
錆《さび》に致したのは三右衛門の罪でございまする。」
治修《はるなが》はちょっ....
「少年」より 著者:芥川竜之介
水浴をしさえすれば、異存のない真理に違いない。海は実は代赭色をしている。バケツの
錆《さび》に似た代赭色をしている。
三十年前の保吉の態度は三十年後の保吉にもそ....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
た。
「こら、騒いではいかん。騒ぐではない。」
将軍は陣地を見渡しながら、やや
錆《さび》のある声を伝えた。
「こう云う狭隘《きょうあい》な所だから、敬礼も何も....
「夢」より 著者:芥川竜之介
の裏から土手《どて》の上にあがり、省線電車の線路を見おろしたりした。線路は油や金
錆《かなさび》に染った砂利《じゃり》の上に何本も光っていた。それから向うの土手の....
「或る女」より 著者:有島武郎
は蒸《む》れ上がるように人を襲って、陰の中にうようよとうごめく群れの中からは太く
錆《さ》びた声が投げかわされた。闇《やみ》に慣れた水夫たちの目はやにわに葉子の姿....
「悠々荘」より 著者:芥川竜之介
だよ。」 僕等は芒の穂を出した中を「悠々荘」の後ろへ廻って見た。そこにはもう赤
錆のふいた亜鉛葺の納屋が一棟あった。納屋の中にはストオヴが一つ、西洋風の机が一つ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
囲に陥った。若し敗れたら、海の藻屑とならなければならない。若し降ったら、賊の刀の
錆とならなければならない。この危機にあって、船員は銘々が最も端的にその生命を死の....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
困りで、) と錠前の寸法を当りながら、こう見ますとね、新聞のまだ残った処に、青
錆にさびた金具の口でくいしめた革鞄の中から、紫の袖が一枚。…… 袂が中に、袖口....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
より、いきなり撲るべき蹴倒し方だったが、傍に、ほんのりしている丸髷ゆえか、主人の
錆びた鋲のような眼色に恐怖をなしたか、気の毒な学生は、端銭を衣兜に捻込んだ。――....
「橋」より 著者:池谷信三郎
り大声に笑いだした。年老った門番の老人が、悲しそうな顔をして、静かに門を開けた。
錆びついた鉄の掛金がギイと鳴った。老人はやはりこの建物の中で、花瓶にさした一輪の....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
と苦悩のよだれを垂らしているのだ。お前の真理はあたかも夜の刺客の手に握られている
錆びた剣のようなもので、お前はその剣のために刺客の罪名のもとに死刑に処せらるべき....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
た、と客を見て早や用意をしたか、蟋蟀の噛った塗盆に、朝顔茶碗の亀裂だらけ、茶渋で
錆びたのを二つのせて、 「あがりまし、」 と据えて出し、腰を屈めた嫗を見よ。一....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
に、重いトロッコを押し始めた。竹藪は何時か雑木林になった。爪先上りの所所には、赤
錆の線路も見えない程、落葉のたまっている場所もあった。その路をやっと登り切ったら....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
験、シリウム並びにヴェスチウムの分析等である。一八一九年から翌二〇年にかけては、
錆びない鋼鉄を造ろうとし、これに白金、金、銀、ニッケル等のごく少量を加えて、いろ....