錠口[語句情報] »
錠口
「錠口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
錠口の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
「春野さんの仰しゃる通り、此の様な有難い事はござんせぬ、それとも殿御の御器量がお
錠口の金壺さんのようなら、私のような者でも御即答は出来ませんが、その長二郎さんと....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
支配するようにそびえ立っていたあの三|棟の高い鱗茸きの代官屋敷から、広間、書院、
錠口より奥向き、三階の楼、同心園という表居間、その他、木曾川に臨む大小三、四十の....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
しおさい》のように遠くかすかに聞こえてくる、ここは、お城の表と大奥との境目――お
錠口《じょうぐち》。 おもては、政務をみるお役所。大奥は将軍の住い。 その中....
「元禄十三年」より 著者:林不忘
時、襖をあけて、平手で頭を叩いた者があった。 「へっ、殿様、御機嫌伺い。」 お
錠口御免の出入りの小間物屋だった。平野屋茂吉が、ずかずかはいってきていた。 「一....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
たものばかりで、おまけに、この居間には番所会所の書類など置いてある関係上、廊下に
錠口をつくって、そこからは一歩も入れないようにしてあるのだし、庄兵衛が出てゆくと....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
、片側はずっと砂壁《すなかべ》で、二階座敷はここだけで行きどまり。 階段の下は
錠口になっていて、不時《ふじ》の攘夷派の襲撃にそなえるために、車びきの重い、土扉....
「藪の鶯」より 著者:三宅花圃
ざります。 勝手にはおさんが香の物をきっていたりしが。御免なさいのこえを聞き。
錠口をあけて。 下女「どちらから。 女「あの山中から出ましてござりますが。やどが....
「春心」より 著者:田中貢太郎
古かった。土蔵の入口にはそれぞれ厚ぼったい土戸が締っていた。小厮の平吉はその戸の
錠口へ鍵を入れて錠を放したが、重いので手ぎわよく啓けることができなかった。 「弱....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
たのは、有村ばかりでなかったとみえて、小姓部屋からひとりの近習が走りだし、やはり
錠口に立って、耳を澄ましているふうだったが、うす暗い所から、 「安田伊織ではない....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
ろしい」 家臣たちは頑として老人の意思を拒んだ。そして無理にひと間へつれ込んで
錠口を隔ててしまうと、そこへ竹屋三位卿が、おそろしく青ざめた顔色をして通った。 ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
て行った。 廊、また廊を曲がって“平沙ノ庭”とよぶ坪の中橋を渡ると、執権御所の
錠口だった。 ――その中橋ノ廊を、二人の影が越えてゆくとき、ちょうど、暗い暁天....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
たい」 と、申し入れた。 折ふし、北ノ庁では、常盤範貞を中心に、府臣数名が、
錠口を閉じて、何か密議をこらしていたのだった。 「なに。四郎左が?」
錠口の取....
「柳生月影抄」より 著者:吉川英治
んな勇気は出せないのである。 ――何気なく、父の居間を覗いた。そこへ行くには、
錠口があって、父の留守中は、用人でも入れないのに、誰か、微かな物音と、人の気配が....