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錦繍
「錦繍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
錦繍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
が明かになって来る。それは感激なくして書かれた詩のようだ。又着る人もなく裁たれた
錦繍のようだ。美しくとも、価高くあがなわれても、有りながら有る甲斐のない塵芥に過....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
い。眇たる丸善の損害は何程でもなかろうが、其肆頭の書籍は世間の虚栄を増長せしむる
錦繍|綾羅と違って、皆有用なる知識の糧、霊魂の糧である。金に換えたら幾何のもので....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
生して美しさ充分に写させ、そして日本一|大々尽の嫁にして、あの雑綴の木綿着を綾羅
錦繍に易え、油気少きそゝけ髪に極上々|正真伽羅栴檀の油|付させ、握飯ほどな珊瑚珠....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
、春は花見秋は観楓、昼は音曲夜は酒宴……競って遊楽に耽っております。山海の珍味、
錦繍の衣裳、望むがままに買うことも出来、黄金の簪※瑁の櫛、小判さえ積めば自分の物....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
とにしよう。 年少時代 比叡尾の山のあけぼのに くれない匂う花がすみ 日熊の紅葉
錦繍の もすそに寄する霧の海 万岳の翠たたえ来て 巴えがくや三つの川 美しき巴峡....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
、長い廊下が行き詰まり、そこに一つの室があった。しかも扉は半ば開き、内側に垂れた
錦繍の帳の色さえ見分けられた。私は少しの躊躇もせず、グッと帳をかかげると共に、室....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
榛名を眺めると、私は終日飽くことを知らない。殊に、十月下旬になると相馬ヶ原一帯の
錦繍は、ほんとうに燃ゆるようだ。明治三十九年の正月の上旬であったと思う。私は、帰....
「酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
流のみぎわを訪れる、というのであるそうだが、いま見てきた妙義から角落の奇峭を飾る
錦繍の色は、燃え立つほどに明るかった。横川宿あたりの桑園の葉も、緑に艶々しい。 ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
お経を読んで居るかのように思われる。
なぜなれば普通の時と違って本堂の内は綺羅
錦繍で飾り付けられて居る。五色のシナ縮緬で捲立てられた柱もあれば、またある大きな....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
に入って、
それが己を裹んで、余所の国々へ飛んで行けば好い。
己のためにはどんな
錦繍にも、
帝王の衣にも換え難い宝だがなあ。
ワグネル
どうぞあの知れ渡....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
法師、『山家集』、実人生への敗恤と交換した文学精神 五 『新古今集』、その特色、
錦繍的妖艶、後鳥羽院の御趣味、『新古今』撰定前の歌界、若き定家 六 『新古今集』....
「エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
斉信の説明に、彼らは非人なるが故に禁忌を憚らざるなりと言ったとある。傀儡子の徒が
錦繍を身に纏うて、小屋住まいをしていた例は言うまでもない。「今物語」に見ゆる一条....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
て、国法以外に置かれたものであった。「江談抄」に、非人たる賀茂葵祭の放免が、綾羅
錦繍を身に纏うて衣服の制に戻るとの非難に対し、彼らは非人なるが故に、国法の関する....
「放免考」より 著者:喜田貞吉
それが既に平安朝も末期に近い大江匡房の頃になっては、彼らは葵祭に列する際には綾羅
錦繍を身に纏いて、為に識者の不審を招く程にもなっていた。それがさらに鎌倉時代も末....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
さながら魔術師の杖が触れたように浮き出して来る。見る間に両側の山腹はこの華やかな
錦繍の大屏風と化してしまった。 雨が歇んで薄日の光がさして来た。硫黄の匂が稍強....