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鍋
「鍋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鍋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白」より 著者:芥川竜之介
も、腹も、後足《あとあし》も、すらりと上品に延《の》びた尻尾《しっぽ》も、みんな
鍋底《なべそこ》のようにまっ黒なのです。まっ黒! まっ黒! 白は気でも違ったよう....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
俵が、わずかに暗示を与えていた。そこへ前垂掛《まえだれが》けの米屋の主人が、「お
鍋《なべ》や、お
鍋や」と手を打ちながら、彼自身よりも背《せ》の高い、銀杏返《いち....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
それは実に呆《あ》っ気ない死です。同時にまた実に世話の無い死です。――
「フライ
鍋の中へでも落ちたようですね。」
「あたしは毛虫は大嫌《だいきら》い。」
「僕は....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
伝う猫も居らず、雀の影もささぬ。 鼠かと思ったそうで、斜に棚の上を見遣ったが、
鍋も重箱もかたりとも云わず、古新聞がまたがさりともせぬ。 四辺を見ながら、うっ....
「親子」より 著者:有島武郎
屋の前を通るごとに、気をつけて中をのぞいて見た。何処の小屋にも灯はともされずに、
鍋の下の囲炉裡火だけが、言葉どおりかすかに赤く燃えていた。そのまわりには必ず二、....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
思いがけない珍らしいものを視た。 二 框の柱、天秤棒を立掛けて、
鍋釜の鋳掛の荷が置いてある――亭主が担ぐか、場合に依ってはこうした徒の小宿でもす....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
いや、縁はすぐつながるよ。会のかえりに酔払って、今夜、立処に飛込むんだ。おでん、
鍋焼、驕る、といって、一升買わせて、あの白い妾。」 「肝腎の文金が、何、それまで....
「明治十年前後」より 著者:淡島寒月
である。『膝栗毛』や『金の草鞋』よりも、仮名垣魯文の『西洋道中膝栗毛』や『安愚楽
鍋』などが持て囃されたのである。草双紙の挿絵を例にとって言えば、『金花七変化』の....
「寺内の奇人団」より 著者:淡島寒月
戯を始めました。ちょっと申せば、天井から石を投げたり、玄関に置いた下駄を、台所の
鍋の中に並べて置いたり、木の葉を座敷に撒いたり、揚句の果には、誰かが木の葉がお金....
「土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
|太宰府の鷽鳥や前記の鶉車の系統に属するものである。 鷹山上杉治憲公が日向|高
鍋城主、秋月家より宝暦十年の頃十歳にして、米沢上杉家へ養子となって封を襲うた関係....
「梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
の上野には御承知の黒門があって、そこから内へは一切物売を厳禁していたから、元の雁
鍋の辺から、どんどんと称していた三枚橋まで、物売がずっと店を出していたものだった....
「諸国の玩具」より 著者:淡島寒月
段々と巧みになっている。それからこの間、『耽奇漫録』から模したのですが、日向国高
鍋の観音の市に売るという鶉車の玩具や、また筑後柳河で作る雉子車、この種の物は形が....
「我が宗教観」より 著者:淡島寒月
常に大精進でしたから、或る時友人と全生庵に坐禅をしに行った帰りに、池の端仲町の蛤
鍋へ這入ったが、自分は精進だから菜葉だけで喰べた事がありました。それから当庵に来....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
分にいたずらをするのだと思い込んで、びっくりして跳び立って、ミルクの入っていたお
鍋にとび込んでしまいました。それであたりはミルクだらけという始末。おかみさんが思....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
顔を焼かれるやら、舌を抜かれるやら、皮を剥がれるやら、鉄の杵に撞かれるやら、油の
鍋に煮られるやら、毒蛇に脳味噌を吸われるやら、熊鷹に眼を食われるやら、――その苦....