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鍋釜
「鍋釜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鍋釜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
湿《うる》おすのを待っているらしい。しかし婆さんは何とも思わないでこの水で朝夕、
鍋釜《なべかま》を洗うようであった。
茶屋を出て、自分らは、そろそろ小金井の堤....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に、日本橋北新堀の鍋久という鉄物屋の母子連れがあった。鍋久は鉄物屋といっても主に
鍋釜類をあきなう問屋で、土地の旧家の釜浅に次ぐ身代であると云われていた。先代の久....
「わが町」より 著者:織田作之助
山を分け進んだが、もとより旅館はなく日が暮れると、ごろりと野宿して避難民めいた。
鍋釜が無いゆえ、飯は炊けず、持って来たパンはおおかた蟻に食い荒されておまけにひど....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
で、約二万はあったであろう。 夜になった。夜半近く、又、行軍縦隊や、自動車や、
鍋釜をかついだ大行李の人夫等が、駅頭に着いた。 一台の立派な自動車には、抜身の....
「転機」より 著者:伊藤野枝
物などが片隅みに押し寄せてあって、上りかまちから土間へかけて、いろいろな食器や、
鍋釜などがゴチャゴチャにおかれてある。土間の大部分は大きな機で占められている。家....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
思いがけない珍らしいものを視た。 二 框の柱、天秤棒を立掛けて、
鍋釜の鋳掛の荷が置いてある――亭主が担ぐか、場合に依ってはこうした徒の小宿でもす....
「物のいわれ」より 著者:楠山正雄
威勢にかなう者はあるまい。おれが一声うなれば、十|里四|方の家に地震が起こって、
鍋釜に残らずひびがいってしまう。」 といいました。 すると、虎が負けない気に....
「水鳥亭」より 著者:坂口安吾
、本の疎開でしたら、あの鶏小屋は絶対にお貸し致しません。しかし、まさかの用意に、
鍋釜、フトンでも分散しといて、イザというとき、逃げこもうという算段でしたら、あの....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
らしく、主人が去って無人のまま一年以上もすぎてから私がこの小屋をかりたとき、本も
鍋釜も、布団も蚊帳も、そっくりそのままであった。小屋の中にも、かなりの書物が四隅....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
います」 「ところが、拙者は茶碗や皿などは数には入れておらん。いくら貧乏世帯でも
鍋釜はあるはず。それまで一杯注いで置いて呑む」 「こいつあ恐れ入りました」 ま....
「木曽の怪物」より 著者:岡本綺堂
には、一日は勿論、二日三日も山中を迷い歩く事があるから、用心の為に米または味噌、
鍋釜の類まで担いで行く。で、日の暮れかかる頃、山奥の大樹の蔭に休んで、ここに釜を....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
だ、とぬかしゃあがって。店をあけたまま、見通しの六畳一間で、裏長屋の総井戸をその
鍋釜一ツかけない乾いた台所から見晴しながら、箒を畳へ横ッ倒しにしたまんま掃除もし....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
通路じゃないか。勿体なくも、朝暗いうちから廊下敷居を俯向けに這わせて、拭掃除だ。
鍋釜の下を焚かせる、水をくませる、味噌漉で豆府を買うのも、丼で剥身を買うのも皆女....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ない。ふてて、ごろりと寝ていることさえ、身体の休養になってしまう。 消炭の屑は
鍋釜の磨き料になるし、コロップの捨てたのは焼いて女の黛になるし、鑵詰の空鑵は魚釣....
「わが町」より 著者:織田作之助
けはじめるのだが、もとより旅館はなく、日が暮れるとごろりと野宿して避難民めいた。
鍋釜が無いゆえ、飯は炊けず、持って来たパンは大方蟻に食い荒されて、おまけにひどい....