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「鍔音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鍔音の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
な気おくれが致していたからでございましょう。その拍子に手もとが狂って、思わず鋭い鍔音《つばおと》を響かせてしまったのではございませんか。すると私が心の中で、はっ....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ようにややしばしうち見守っていましたが、にんめりとぶきみに微笑しながら、ぱちりと鍔音《つばおと》もろとも鞘《さや》へ納めると、例のごとく伝六に早|駕籠《かご》を....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
ましょう」 「よろしい」と云うと南部集五郎は落とした刀を拾い上げた。 パチンと鍔音高く立て、刀を納めた小一郎、「お別れ致す」と云いすてると、町の方へスタスタ歩....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
三べん閃《ひら》めかしたと思うと、スラリとまた鞘《さや》の中へ叩き込んで、多少の鍔音《つばおと》もさせませんでした。 「ごらん下されたか」 「うむ――」 「いか....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
。 「神尾主膳殿」 兵馬は、主膳の枕許の刀架《かたなかけ》から刀を取って、その鍔音《つばおと》を高く鳴らすと、 「やっ、誰じゃ」 「お目ざめでござりましたか」....
染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
一 ぴかり! 剣光! ワッという悲鳴! 少し間を置いてパチンと鍔音。空には満月、地には霜。 切り仆したのは一人の武士、黒の紋付、着流し姿、黒....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
も及ぶまい。祟りのほどがうるさいからなあ」 で、抜いた太刀を鞘へ納め、パチンと鍔音を小高く立てたが、改めて娘の様子を見た。 木洩陽を浴びて坐っている、廻国風....
善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
しく姫が執る、二人はピッタリ肩を寄せ、部屋の内へ入って行く。 とたんにパチッと鍔音がした。 ハッと驚いた若侍、思わず一足下った時、 「イヤーッ」と鋭い小野派....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
が、云い出したからには、腰の物は拝見いたさねばならず……眠らせて!」 「黙れ!」鍔音がした! 「はーッ」と頼母は、思わず呼吸を引いた。武士によって鳴らされた鍔音....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
かけた。それからゆるゆると拭ったが、単に塵埃をふいたまでである。すぐにささやかな鍔音がした。無造作に刀を納めたのであろう。胸のあたりへ手をやったが、乱れた襟を直....
無宿人国記」より 著者:吉川英治
ていたが、おのれ、何しにここへ――」 と、鐺を上げて、ぶるぶると、右手の拳に、鍔音をさせた。 (この男か) と、一角は、そういって、ジリジリと前へ迫ってくる....