鍵形[語句情報] »
鍵形
「鍵形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鍵形の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
医がこれなんだ」
事務長は朋輩《ほうばい》にでも打ち明けるように、大きな食指を
鍵形《かぎがた》にまげて、たぐるような格好をして見せた。葉子がちょっと判じかねた....
「或る女」より 著者:有島武郎
りつめると、他の部屋《へや》から廊下で切り放されて、十六畳と八畳と六畳との部屋が
鍵形《かぎがた》に続いていた。塵《ちり》一つすえずにきちんと掃除《そうじ》が届い....
「星座」より 著者:有島武郎
底深い悲壮な感じに打たれた。感激した時の癖として、園はその樹を見るごとに、右手を
鍵形に折り曲げて頭の上にさしかざし、二度三度物を打つように烈しく振り卸《お》ろす....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
て、廊下から以前の階段を下った所は、大部分を枯草小屋が占めているので、自然土間が
鍵形になり、一方は扉口に、もう一つのやや広い方は、階段と向き合った蚕室に続いてい....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
天窓を露出でな、耳元を離した処へ、その赤合羽の袖を鯱子張らせる形に、大な肱を、ト
鍵形に曲げて、柄の短い赤い旗を飜々と見せて、しゃんと構えて、ずんずん通る。…… ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ぐ衣嚢に収め鐘楼に赴いた。二段に屈折した階段を上りきると、そこはほぼ半円になった
鍵形の廊下になっていて、中央と左右に三つの扉があった。熊城も検事も悲壮に緊張して....
「旅愁」より 著者:横光利一
光の中に見えて来た。船は速力をゆるめ徐徐に鴎の群れている港の中に這入っていった。
鍵形に曲った突堤と埠頭の両側から、吊り橋のように起重機が連り下っている。その向う....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
崩れそうなひょろひょろ歩行き。好い心持に眠気がさすと、邪魔な灯を肱にかけて、腕を
鍵形に両手を組み、ハテ怪しやな、汝、人魂か、金精か、正体を顕せろ! とトロンコの....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
叢を根にして洞窟の残片のように遺っている焼け落ちた建物の一角がある。それは空中を
鍵形に区切り、刃型に刺し、その区切りの中間から見透す空の色を一種の魔性に見せなが....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
えられぬ位のあわただしさであった。そしてすぐに家を出た。立派な日本館と西洋館とが
鍵形になった邸ではあったが、愛着などあろう筈はなく弾が落ちない前にもう逃げはじめ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
に密接することになった。 無意識に今|掴んだのは、ちょうど折曲げた真白の肱の、
鍵形に曲った処だったので、 「しゃっちこばッたな、こいつあ日なしだ。」 とその....
「或る少女の死まで」より 著者:室生犀星
売屋の小路の中に、そまつな硝子戸を立てこんだ新しい建物からなり立っていて、そこの
鍵形になったテエブルの正面に、いろいろな酒瓶が処せまく並べてあって、そこにおかみ....