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鍵盤
「鍵盤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鍵盤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
ルガンの側へ歩み寄った。が、令嬢はまるでそれに気がつかないかのごとく、依然として
鍵盤《けんばん》に指を走らせ続けていた。
「今日《こんにち》は。御気分はいかがで....
「器楽的幻覚」より 著者:梶井基次郎
きは泡を噛《か》んで進んでゆく波頭のように、あるときは戯れ合っている家畜のように
鍵盤に挑みかかっていた。それがときどき演奏者の意志からも鳴り響いている音楽からも....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
―」 ショパンの、腸を断つような、悲痛なメロデーに充ちた葬送行進曲が、ピアノの
鍵盤の上から、静かに響いて来た。 涙をソッと押さえてJOAKのスタディオに弾ず....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
。そこから、向う側の壁までの間は、空んとした側柏の板張りだった。そして、鐘鳴器の
鍵盤は、壁を刳形に切り抜いて、その中に収められてある。三十三個の鐘群はそれぞれの....
「家」より 著者:島崎藤村
く小さい震えるような声で歌って聞かせた。音楽者の癖で、曾根が手の指は無心に洋琴の
鍵盤に触れるように動いた。これはそう旧いことでも無かった。急に、三吉はこの人と親....
「感覚と科学」より 著者:寺田寅彦
不可能とは思われない。適当なスケールさえ作ればこれは可能になる。たとえばピアノの
鍵盤や、オストワルドの色見本は、言わばそういう方向への最初の試歩である。金相学上....
「映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
、それらもおもしろくない事はない。また女の捨てばちな気分を表象するようにピアノの
鍵盤をひとなでにかき鳴らしたあとでポツンと一つ中央のCを押すのや、兵士が自分で投....
「映画芸術」より 著者:寺田寅彦
の対位法的な律動的構成の試みが「世界のメロディー」の中に用いられていた。ピアノの
鍵盤とピアノの音とが、銅鑼のクローズアップとその音とに交互にカットバックされると....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
に行為と合致して、その自然の開展を妨げない。たとえば熟練なるピアニストはその指の
鍵盤に触るることを意識しない。しかしこの場合には、指もて
鍵盤を打ちつつあることを....
「変った話」より 著者:寺田寅彦
を見学に行ったときに同社の専売の電信印字機を見せてもらった。発信機の方はピアノの
鍵盤のようなものにアルファベットが書いてあって、それで通信文をたたいて行くと受信....
「アインシュタイン」より 著者:寺田寅彦
奏が出来るらしい。 それから、子供の時に唱歌をやったと同じように、時々ピアノの
鍵盤の前に坐って即興的のファンタジーをやるのが人知れぬ楽しみの一つだそうである。....
「映画雑感(Ⅵ)」より 著者:寺田寅彦
している。眼前を過ぎる幻像を悲痛のために強直した顔の表情で見詰めながら、さながら
鍵盤にのしかかるようにして弾いているショパンの姿が、何か塹壕から這い出して来る決....
「音楽界の迷信」より 著者:兼常清佐
先生はほとんど例外なしに言う。――お前はタッチを勉強しなくてはいけない。ピアノの
鍵盤の打ち方こそピアノの技術の真生命のあるところである。
鍵盤の打ち方ひとつで音は....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
の満場|爪も立たない聴衆の前で椿岳は厳乎らしくピヤノの椅子に腰を掛け、無茶苦茶に
鍵盤を叩いてポンポン鳴らした。何しろ洋楽といえば少数の文明開化人が横浜で赤隊(英....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
へ駈け降りていってしまいました。そしていったかと思うと、気が違ったようにピアノの
鍵盤が、鳴り出して……。 「いらっしゃいよう、いらっしゃいよう……早く、降りてい....