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鍾愛
「鍾愛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鍾愛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「行人」より 著者:夏目漱石
して、たいていは書斎裡《しょさいり》の人であったので、いくら腹のうちでこの少女を
鍾愛《しょうあい》しても、
鍾愛の報酬たる親しみの程度ははなはだ稀薄《きはく》なも....
「曠野」より 著者:堀辰雄
い、大きな屋形の、住み古した西《にし》の対《たい》に、老妻と一しょに、一人の娘を
鍾愛《いつく》しみながら、もの静かな朝夕を過ごしていた。 漸《ようや》くその一....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
とで、ただ年が若いというだけ、新時代に対してなんにも知らない人たちばかりだった。
鍾愛《しょうあい》の、美しい孫姫さんが、御方《おかた》(姫の住居―離れたお部屋)....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
しておいて、ただ彼らが善良でありことに幸福でさえあればいいとしていた。子供たちを
鍾愛《しょうあい》していたのである。それで二人の子供は、この上もなく生存競争の準....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ては、障害のないことからくる病的な形をとるものである。 ランジェー夫妻は、娘を
鍾愛《しょうあい》しながらも、自分一身の安逸を少しも犠牲にしたがらなかった。一日....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。彼女はリオネロの欺瞞《ぎまん》に欺かれてはいないが、それでもやはりリオネロを
鍾愛《しょうあい》してるということを知っていた。そういう家庭的情愛の盲目な利己心....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
女を愛していた。リストリエは、花の名を綽名《あだな》としているダーリアという女を
鍾愛《しょうあい》していた。ファムイュは、ジョゼフィーヌをつづめてゼフィーヌと呼....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ら大事に奉られてる様が現われていた。二人がはいってきた時テナルディエの上さんは、
鍾愛《しょうあい》の情に満ちたわざと小言を言うような調子で言った、「ああお前たち....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
してゆかなかった。あえて肉迫し得ないでいるのは自ら気づかなかった。彼はコゼットを
鍾愛《しょうあい》し、コゼットを所有し、そしてコゼットは純潔に光り輝いていた。そ....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
供の養育に経験のある筈はない。ただ早く父母に別れた幼弟を憐れがって我が子のように
鍾愛し、私が親のないことを不幸だと思ったことは一度もないくらい、それは大切にして....
「雪の宿り」より 著者:神西清
連れ遊ばすのが例で、御利発な上に学問御熱心なこのお稚児を、お二方ともよくよくの御
鍾愛のようにお見受け致しました。わたくしが桃花坊へ上りました後々も、一慶さまや瑞....
「梟啼く」より 著者:杉田久女
すべて眼につくものは皆焼き捨ててそこいらには信の遺物は何もない様にしてしまった。
鍾愛おかなかった末子の死は、一家をどれ程悲嘆せしめたかわからなかった。 姉と私....
「酒渇記」より 著者:佐藤垢石
せ、酒を出せ』とせがむのだ。細君は劉伶の身を案じて蔵に入れて置いた酒を棄て、夫君
鍾愛の酒器を毀してしまった。そして泣いて諫めて言うに、何としてもあなたは大酒すぎ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
方で、何か失行のあった時、名家の子弟であったためか、新聞に書立てられて、その方を
鍾愛なさる母上がひどく苦になさった時など、緒方氏は母上がお気の毒だといって、寝食....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
不男を対手にするとは余り物好き過ぎる。尤も一と頃|倫敦の社交夫人間にカメレオンを
鍾愛する流行があったというが、カメレオンの名代ならYにも勤まる。 そういえばY....