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鎚
「鎚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鎚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「去年」より 著者:伊藤左千夫
屠獣所から雇うてきたのである。撲殺には何の用意もいらない。屠手が小さな斧に似た鉄
鎚をかまえて立っているところへ、牧夫が牛を引いて行くのである。 最初に引き出し....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
門二歯と申します。参差歯にすることに致しましょう」 コツコツと叩く音がした。金
鎚で前歯を砕くらしい。 「耳の形のふくよかなことは。これは水耳と申します。木耳に....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
に、神の名をよんだ。 艇内は、にわかにエンジンの音が高くなった。それはまるで金
鎚で空缶をたたくようなやかましい音だった。今にも艇が、どかんと爆破するのではない....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
みると、外そうと思った錠前がすでにはずれているではないか。いや、錠前は、なにか金
鎚みたいなもので叩きつぶされていたではないか。 「変だな、――」 と思って、扉....
「空襲警報」より 著者:海野十三
きて、「至急集合!」を知らせてきたので、仕事はあともう一息だったけれど、そのまま
鎚をなげだして、団服を着るのももどかしく、往来へ走りでた。 「やあ鉄造さん。よく....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
普請らしい。大工左官がそちこちを、真昼間の夜討のように働く。……ちょうな、鋸、鉄
鎚の賑かな音。――また遠く離れて、トントントントンと俎を打つのが、ひっそりと聞え....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
が隠れて、葉越葉末に、船頭の形が穂を戦がして、その船の胴に動いている。が、あの鉄
鎚の音を聞け。印半纏の威勢のいいのでなく、田船を漕ぐお百姓らしい、もっさりとした....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
価値といずれを選ぶべきかは必ず懐疑に陥れる。大衆を啓蒙すべきか、二、三の法種を鉗
鎚すべきか、支那の飢饉に義捐すべきか、愛児の靴を買うべきかはアプリオリに選択でき....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
と目でも出逢う時があったらば、その時すぐに打ち割るために、いつも身には短い重い鉄
鎚をつけていた。彼にとっては、彼女に逢うことはもはや第二の問題であった。ただ彼女....
「博物誌」より 著者:岸田国士
籠の横木の間に糸で結びつけてやる。すると、彼が食うのはその糸だけだ。彼はまるで金
鎚のような勢いで、そのビスケットを押したり突っついたりする。で、ビスケットは落ち....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
可さそうな処を、この男にして妙な事には、古背広にゲエトルをしめ、草鞋穿で、鏨、鉄
鎚の幾挺か、安革鞄で斜にかけ、どうかするとヘルメット帽などを頂き、繻子の大洋傘を....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
て舐めろと言え。……いずれ剣劇や活動写真が好きだろう。能役者になる前に、なぜ、鉄
鎚や鑿を持って斬込んで、姉を苛めるその姑婆を打のめさないんだい。――必ず御無用だ....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
古火鉢と、大きな細工盤とで劃って、うしろに神棚を祀った仕事場に、しかけた仕事の鉄
鎚を持ったまま、鏨を圧えて、平伏をなさると、――畳が汚いでしょう。けばが破れて、....
「革命の研究」より 著者:大杉栄
と聞いてみるなら、富豪の家へ坐りこむとか、食料を分配するとか、銀行や倉庫に鍬や鉄
鎚を打ちこむとか、監獄をぶち毀すとか答えるものがどれだけいることだろう。そして一....
「俗臭」より 著者:織田作之助
一本位は来てるし居所は知ってるだろうと推測したのである。 「御尤も」と伝三郎は相
鎚打った。内地にいるのなら兎も角、朝鮮にいる男のことが何で縁談のさまたげになるよ....