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鎮守の森
「鎮守の森〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鎮守の森の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「若杉裁判長」より 著者:菊池寛
定された翌晩が来ると、警察署長以下、警部一名、刑事巡査六名がことごとく変装して、
鎮守の森を遠巻きにしたそうです。そして柔道初段という刑事と、撃剣が三級という腕節....
「ゼーロン」より 著者:牧野信一
の村境いの――」 私は一羽の鳶が螺旋を描きながら舞いあがっている遥《はる》かの
鎮守の森の傍《かたわ》らに眺められる黒い門の家を指差して、同じ方角にゼーロンの首....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
もあった。その帰り途で、彼女はここらにめずらしい寺小姓風の美少年に出逢って、暗い
鎮守の森の奥や、ひと目のない麦畑のなかへ一緒に連れ立って行ったことがある。その美....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
何気なくひょいと見ると、何と言う里の何と言う鎮守であるか、そこの街道脇につづいた
鎮守の森の外をうろうろしている鳥刺しの容子が、いかにも少し奇怪でした。第一にいぶ....
「鬼涙村」より 著者:牧野信一
花見の折からで「サクラ音頭」なる囃子《はやし》が隆盛を極めていた。夜ごと夜ごと、
鎮守の森からは、陽気な歌や素晴しい囃子の響が鳴り渡って、村人は夜の更《ふ》けるの....
「大和路・信濃路」より 著者:堀辰雄
たちに追われるようにして、その村を出た。 その村はずれには、おあつらえむきに、
鎮守の森があった、僕はとうとう追いつめられるように、その森のなかに逃げ込み、そこ....
「山の手の子」より 著者:水上滝太郎
をして聞かせた乳母の里でも村一番の美しい娘が人に逢いたいとて闇夜に家を抜け出して
鎮守の森で待っているうちに野衾に血を吸われて冷めたくなっていたそうだ。氷を踏むよ....
「白蛾」より 著者:豊島与志雄
茂みは、灌木のそれに同じで、その下蔭には小鳥が巣くっている筈でした。数本の大木は
鎮守の森で、そこには苔生した神社がある筈でした。木立が一列に並んでいる所には、た....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
たりを見まわした。物語のなかに、すっかりとけこんでいたので、よいやみせまる女良の
鎮守の森の、大枝さしかわすすぎの大木の根もとに、あぐらをくんでいるのだと思ってい....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
はい/\」 と言って出掛けましたが、叔父の事も心にかゝりますから、心配しながら
鎮守の森も、これが見納めか、清右衞門どんの家の棟もこれが見納めになる事かと見返り....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
通して来ず、で薄暗い風景の中に、雀や鶸や山雀や山鳩の、啼声ばかりが繁く聞こえる、
鎮守の森に包まれて、気絶して倒れた主水の姿が、みじめに痛々しく眺められた。 色....
「魔像」より 著者:林不忘
の不良少女があったという証拠には、長庵の相手のお六である。同村内で恋を語らって、
鎮守の森などで肥料臭《こやしくさ》いランデブウをやっていたのだが、このお六がまた....
「地上」より 著者:島田清次郎
村々の樹木に照り返っていた。ふと気づくと、すらりと背の高い男の姿が大股に緩やかに
鎮守の森の方から歩いて来るのが見えた。天野であった。 「お光さんかね」耳の近くで....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
を帯びた空は山にも木にもよく調和していた。何処を見ても物の色は佳い。暗く影の深い
鎮守の森、白く日に光る渓川の水、それを彩るものは秋の色である。高くもあらぬ西山の....
「澪標」より 著者:外村繁
に出る。 上畑は畠地で、緩く傾斜し、一筋の往還を隔てて、遠く水田が連っている。
鎮守の森を除けば、早朝の田園の風景は至って清明である。遥か北方に伊吹山が聳えてい....