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鏡面
「鏡面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鏡面の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
ね。……」
僕は老人のしゃべっている間《あいだ》に望遠鏡を覗いて見た。ちょうど
鏡面《きょうめん》に映《うつ》っているのはこの島の海岸の市街《まち》であろう。小....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
アロアア区から電話がかかってきた。 博士コハクは受話機の前に出て釦をおした。
鏡面に漣《さざなみ》がたったかと思うと、大統領ミルキの髭の中にうずもれた顔が浮き....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
芒を撥開し、そこから縒り出す閃光のテープを谷窪のそれを望むものものに投げかけた。
鏡面を洗い澄ましたような初秋の太陽が昇ったのだ。小鳥の鳴声が今更賑わしく鮮明な空....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、古代の鏡は、青銅の薄膜の裏に水銀を塗って作られていたのですよ。そうすると、その
鏡面に――つまり、この図では金星の後方に当るのですが、それには当然、帷幕の後方か....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
うしたものか香具師は、俄に叫ぶと居住居を直し、煙突形の円筒へ、斜めに篏め込まれた
鏡面をグッとばかりに睨み付けた。驚いた九兵衛も首を延ばし、これも
鏡面を覗き込んだ....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
。 間近かの照空灯は、聴音隊からの刻々の報告によって、まだ灯火の点かない真暗な
鏡面をジリジリ細かく旋廻している。点減手はスウィッチの把手を握りしめている。もう....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
は天井に煙草の煙をふきあげながら、かすれた声で応えた。 「まあ、――」 夫人は
鏡面ごしに、このところひどく黄いろく萎びた夫の顔を眺めた。だんだんとこみあげてく....
「巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
し。では真向きの全身――椅子を直すふりして女客は立ち上った。が、真向きの一番広い
鏡面は表のマロニエの影で埋まっている。白い花を載せた浅緑の葉や、赤い花を包んだ深....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
ので、その毒々しいまでの物奇きには、もう既に呆れを通り越してしまって、何か凸凹の
鏡面でも眺めているような、不安定なもどかしさを感じて来るのだった。然し、そうして....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
いなかった。光は受けてはいたけれど、形を写していないのである。しかし間もなくその
鏡面へ、仄かに物の形が写った。 (妾が病気になる時刻が来た) そうお島が思った....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
は、ガラスの上に錫を張って、その上に流した水銀を圧搾するのであるから、したがって
鏡面の反射が完全ではなく、わけても時代を経たものとなると、それは全く薄暗いのであ....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
のだ。 ところが、法水に表を返されて、一同はあっと叫んだ。 と云うのは、その
鏡面に、薄く滲み出たかのごとく、紅で、五本の指痕が印されてあったからである。 「....
「地上」より 著者:島田清次郎
一番列の前にいる筈であった。和歌子に相違なかった。彼は威厳を含んだ秀麗な和歌子の
鏡面のすがたを視つめていた。自分の立っている所から彼女の姿が見えるように、自分の....
「触覚の世界」より 著者:高村光太郎
ものであると言える。彫刻はいちばん根源的な芸術である。 私の薬指の腹は、磨いた
鏡面の凹凸を触知する。此は此頃偶然に気のついたことであるが、ガラスにも横縦がある....
「春」より 著者:岡本かの子
れない。 鏡を持って行って見せてやる。丸い手鏡の縁に嵌まって、よく研ぎ澄ました
鏡面が、京子の淋しいきちがいと光らせ、傍の者を眩しがらせてから、も一度、朝陽の在....