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鏤
「鏤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鏤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「春」より 著者:芥川竜之介
段を登りつめた所は昼も薄暗い第一室だった。彼女はその薄暗い中に青貝《あおがい》を
鏤《ちりば》めた古代の楽器《がっき》や古代の屏風《びょうぶ》を発見した。が、肝腎....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ましても、その明くる日、若殿様が何気なく御居間へ御出でになると、螺鈿《らでん》を
鏤《ちりば》めた御机の上に、あの伽陵《がりょう》の笙と大食調入食調の譜とが、誰が....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
起さぬように力のないわたしをお守り下さいまし。
わたしはこの春酒に酔い、この金
鏤《きんる》の歌を誦《しょう》し、この好日を喜んでいれば不足のない侏儒でございま....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
路は、二階の燈と、三階の燈と、店の燈と、街路の燈と、蒼に、萌黄に、紅に、寸隙なく
鏤められた、綾の幕ぞと見る程に、八重に往来う人影に、たちまち寸々と引分けられ、さ....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
、そのまま柱にして絵かれたる、十二光仏の微妙なる種々相は、一つ一つ錦の糸に白露を
鏤めた如く、玲瓏として珠玉の中にあらわれて、清く明かに、しかも幽なる幻である。そ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
つ嵌めた白い指をツト挙げて、鬢の後毛を掻いたついでに、白金の高彫の、翼に金剛石を
鏤め、目には血膸玉、嘴と爪に緑宝玉の象嵌した、白く輝く鸚鵡の釵――何某の伯爵が心....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
くと、寝ぬくまった目を覚して、蘆の間から美しい紅玉の陽の影を、黒水晶のような羽に
鏤めようとする鷭が、一羽ばたりと落ちるんだ。血が、ぽたぽたと流れよう。犬の口へぐ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
た腰元が、ばたばたと前へ立ち、炎燃ゆ、と緋のちらめく袖口で音なく開けた――雨戸に
鏤む星の首途。十四日の月の有明に、片頬を見せた風采は、薄雲の下に朝顔の莟の解けた....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
杢若をば侮って、その蜘蛛の巣の店を打った。 白玉の露はこれである。 その露の
鏤むばかり、蜘蛛の囲に色｜籠めて、いで膚寒き夕となんぬ。山から颪す風一陣。 は....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
ずれましたか。」 清水の面が、柄杓の苔を、琅※のごとく、梢もる透間を、銀象嵌に
鏤めつつ、そのもの音の響きに揺れた。 「まあ、あれ、あれ、ご覧なさいまし、長刀が....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ざいます、上杉様、とおっしゃいます。」 「ええ、映山先生。」 お嬢さんの珊瑚を
鏤めた蒔絵の櫛がうつむいた。 八 「どういたしまして。お嬢様、お心....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
会は全くなく、要するに彼等は、純然たる霊界居住者なのである。然し乍ら、彼等が曾て
鏤めたる宝玉は、歳と共に光輝を加えて、不朽の生命を有っている。この魂の光、この魂....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
た峰である。 と、この一廓の、徽章とも言つべく、峰の簪にも似て、あたかも紅玉を
鏤めて陽炎の箔を置いた状に真紅に咲静まったのは、一株の桃であった。 綺麗さも凄....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
一つ、塵も置かず、世の創の生物に似た鰐口も、その明星に影を重ねて、一顆の一碧玉を
鏤めたようなのが、棟裏に凝って紫の色を籠め、扉に漲って朧なる霞を描き、舞台に靉靆....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、浮彫、筋彫、石め、鏨は自由だから、蔓も、葉も、あるいは花もこれに添う。玉の露も
鏤む。 いずれも打出しもので、中はつぎのないくりぬきを、表の金質に好配して、黄....