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「鐘の音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鐘の音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大川の水」より 著者:芥川竜之介
いさびしさに迫られたことであろう。 大川の流れを見るごとに、自分は、あの僧院の鐘の音と、鵠《くぐい》の声とに暮れて行くイタリアの水の都――バルコンにさく薔薇《....
星座」より 著者:有島武郎
札幌に来てから園の心を牽《ひ》きつけるものとてはそうたくさんはなかった。ただこの鐘の音には心から牽きつけられた。寺に生れて寺に育ったせいなのか、梵鐘《ぼんしょう....
高野聖」より 著者:泉鏡花
た、何しろ夜の白むのが待遠《まちどお》でならぬ。 そこではじめの内は我ともなく鐘の音の聞えるのを心頼みにして、今鳴るか、もう鳴るか、はて時刻はたっぷり経《た》....
クララの出家」より 著者:有島武郎
たと思うと、救世主のエルサレム入城を記念する寺の鐘が一時に鳴り出した。快活な同じ鐘の音は、麓の町からも聞こえて来た、牡鶏が村から村に時鳴を啼き交すように。 今....
天守物語」より 著者:泉鏡花
て、払く音に、図書板敷にて一度|留まり、直ちに階子の口にて、燈を下に、壇に隠る。鐘の音。 時に一体の大入道、面も法衣も真黒なるが、もの陰より甍を渡り梢を伝うがご....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
。そこに鎖した雨戸々々が透通って、淡く黄を帯びたのは人なき燈のもれるのであろう。鐘の音も聞えない。 潟、この湖の幅の最も広く、山の形の最も遠いあたりに、ただ一....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
返る春の寒さに降る雨も、暮れていつしか雪となり、 仮声使、両名、登場。 ※上野の鐘の音も氷る細き流れの幾曲、すえは田川に入谷村、 その仮声使、料理屋の門に立ち随....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
。」 この数分時の言の中に、小次郎法師は、生れて以来、聞いただけの、風と水と、鐘の音、楽、あらゆる人の声、虫の音、木の葉の囁きまで、稲妻のごとく胸の裡に繰返し....
南地心中」より 著者:泉鏡花
、緑の雫すらすらと、香枕の香に霞むを待てば、鶏の声しばしば聞えて、元結に染む霜の鐘の音。血る潔く清き身に、唐衣を着け、袴を穿くと、しらしらと早や旭の影が、霧を破....
燕と王子」より 著者:有島武郎
ら立ち上る時、すべてのものが楽しく休むその時にお寺の高い塔の上から澄んだすずしい鐘の音が聞こえて鬼であれ魔であれ、悪い者は一刻もこの楽しい町にいたたまれないよう....
小夜啼鳥」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
、さっそくうたいだしましたが、そのこえのよさといったらありません。 「まるで玻璃鐘の音じゃな。」と、侍従長はいいました。「あのちいさなのどが、よくもうごくものだ....
人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
はいりました。お寺のまるい塔と、とがった塔のならんでいるのが見えたし、そこから、鐘の音もきこえて来ました。でも、そこへ上がっていくことはできませんから、ただなに....
遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
黒雲の下に経立つ幾多馬の子ほどのお犬あり。一つずつかわるがわる吠ゆる声、可怪しき鐘の音のごとく響きて、威霊いわん方なし。 近頃とも言わず、狼は、木曾街道にもそ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
ちと老けた声で、 「されば宜しくござりません、昔から申すことで、何しろ湯屋で鐘の音を聞くのさえ忌むとしてござります。」 「そして詰る処、何に障るんですね。」....
西航日録」より 著者:井上円了
って余は、 喚鐘声裏往来忙、士女如花満会堂、日曜朝昏修養力、能教国富又兵強。 (鐘の音のひびくなかで人の往来することせわしなく、紳士も叔女も花のごとく色とりどり....